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孫子研究ブログです。孫子兵法は別名『孫子兵経』、『SUNTZU』、『The Art of WAR』ともよばれています。ナポレオンや毛沢東も愛読していました。注釈者には曹操、杜牧、山鹿素行、荻生徂徠、新井白石、吉田松陰、等の有名人も多いです。とにかく深いです。

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2012-02-21 (火) | 編集 |
孫子 兵法 大研究!

本文注釈:孫子 兵法 大研究!

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『地とは、高下・広狭・遠近・険易・死生なり。』:本文注釈

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竹簡孫子のみ「高下」の文字がある。『淮南子』や後世の孫子注釈書に「生死」は「高下」を指す旨の注があるので、重複となるから後世に除外されたのであろう。
「地」とは勝利のための条件となる、当時の戦にとっては最も重要な要素である地形を中心とした(造形物を含む)『空間把握力』であり、『戦闘に有利なポイントとなる場所の見極め』のことである。古代は陸上戦が主だったが、現代に照らして考えれば、空中戦や海戦も考えられるので、現代の戦争を対象にして考慮すれば、空や海の空間の特徴もこの「地」に含まれることになるだろう(例えば、高さの違いによる気圧の高低や、海の深度の違いによる水圧の上下など)。また、「高下~険易」までは空間的なものを指しているが、「死生」は全く別ものである。(「死生」が出た途端に血しぶきが飛ぶ激しい戦場の姿が思い起こされる。)つまり、孫武は戦場となりそうな場所での戦闘を想像し、自軍に有利な地点(敵を押し出せるポイント)、不利な地点(敗走を余儀なくされるポイント)を割り出すことが大事であると言っているのである。要するに、「地」を自軍に有利なものとするには、空間把握力だけでは不足であり、それプラス、将の智、いわゆる人心の機微を洞察する知恵をもって、敵味方の立場に立って考え、対象となっている「地」がどんな意味をもつ「地」なのかを把握する必要があるということである。(その「地」の種類が「孫子」で語られるところの「九地」である。)そして、自軍に有利な「地」を選択し、状況に応じた判断をしていくといったことを瞬時に行なう決断力と実行力が将に求められる『智』なのである(『智』とは「五事」の「将の五材」の一。)
「地を知る」という言葉は「孫子」を学べば、頻出の語句であることがわかるが、この「地を知る」は将の能力にかかっている。故に「五事・七計」が最も重要であることがわかる。そしてこれは勝を完全なものとする要素の一つなのである。ゆえに、「孫子」地形篇の結語に「彼を知り、己を知れば勝ち乃ち殆うからず。天を知りて地を知れば勝ち乃ち全かる可し」といっているのである。
天と地とは切っても切れ離すことができないものである。天、すなわち大自然の法則があればこそ、地、すなわち空間がある。『孫子』の場合は、天、すなわち勝利の法則があれば、地、すなわち空間は戦場となる。また逆に戦場があれば(地)、勝利の法則を見出すことができる。つまり、「孫子」はこの関係の理解を我々に求めており、『常在戦場』の心構えと、『勝利の方程式』の体得をせよ、といっているのである。

地-①天の下にある、土の部分。陸。つち。②ところ。㋐一定の場所。領土。㋑心や身のおきどころ。境遇。③(書物・荷物などの)下部。④副詞をつくる接尾辞。…の状態にある。…的。⑤手を加えぬ、本来の状態。㋐(ほかならぬ)その土地。㋑うまれつき。もちまえ。㋒ありのままの材料。㋓文章の、会話以外の、説明の部分。㋔実際。事実。【解字】形声。「土」+音符「也」(=のびひろがる)。平らにひろがる土の意。


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○浅野孫子:死生-軍隊の死生を決める地勢。前の「死生の地」と同じ。「死地」の説明は九地篇に詳しい。

○金谷孫子:死生-高低のこと。『淮南子』兵略篇の注に「高きものを生、ひくきものを死という。」とある。

○町田孫子:<死生>死地・生地。死地は荒れ地のこと。生地は行軍篇に「生を視て高きに処り」とあるその生地であろう。草木の生いしげっている地のこと。

○天野孫子:地者遠近険易広狭死生也 「地」は地形・環境の意。「遠近」は両地点間の距離。「険易」は険しい地と平らな地。「広狭」は土地の面積、幅を言う。「死生」は死地と生地。九地篇に「疾く戦へば存し、疾く戦はざれば亡ぶるを死地と為す」と。死地とは生命を失う条件をそなえた環境を言う。従って「生地」は生命を保つに有利な条件をそなえた環境。死生は戦闘上有利・不利な環境。遠近・険易・広狭は客観的基準による分類であるが、死生は主観的な判断によるもの。なお、この句について一説に『略解』は「句義、上と同じく遠近・険易・広狭の死生なりの義にみるべし。遠きは宜しく緩にして、速かにすれば死となり、近きは宜しく速かにして、緩にすれば死となる。険は宜しく歩を用ゆべきに騎を用ゆれば死となり、易は宜しく騎を用ゆべきに歩を用ゆれば死となる。これに反すれば生となるの類を云ひて、地利を量って死地になるを避けて生地となるやうにするを云ふ」と。

○大橋孫子:死生-死地生地

○佐野孫子:「十一家註本」、「武経本」には、「高下」の字がない。又、「竹簡孫子」には「広狭」が「遠近」の前にある。斯る地理的条件もまた「順逆の理」が巧みに活用されなければならない。

○守屋孫子:「地」とは、行程の間隔、地勢の険阻、地域の広さ、地形の有利不利などの地理的条件を指している。

○田所孫子:地には、遠い地あり、近い地あり、険阻な地あり、平易な地あり、広い地あり、狭い地あり、易々と生きのびられる地あり、如何に努力しても容易に死から免れない地があるとの意。

○著者不明孫子:【険易】「険」は険阻、「易」は平坦。 【死生】「死」は低、「生」は高。行軍篇第九の一に「死を前にし生を後にす」とあり、そこの杜牧の注に「死は下きなり、生は高きなり」という(梅堯臣・張預の注も同様の解釈。なお、金谷治『孫子』は『淮南子』兵略訓に「生を後にし死を前にす」とあり、その高誘の注に「高き者を生と為し、低き者を死と為す」とあるのを引く)。常識的に考えると、「死生」はそこで戦えば死に陥るか生き延びられるかの地理的条件を指すと理解され(ここの李筌や梅堯臣の注もそのような説で、行軍篇の李筌以下の注にも同様の解釈が見える)、それでも通じないことはないが、高低の意にとるのが簡明でよい。

○重沢孫子:第三の”地”は、遠近から広狭までの戦場を中心にした地形に関する知識に加え、死か生かという重大な判断がそこに求められています。その拠点・陣地あるいは占領地域をあくまで死守すべきか、それとも生を求めて放棄撤収すべきかの判断は、その地域の地形と不可分の関連にあります。また原則として主戦場を他国に想定する孫子の兵法論にあっては、死生に深くつながる本国政府との情報伝達、ならびに武器や食料等必需物資の輸送問題においても、地形や距離の重要性は否定できません。

○諺義:地者、遠近険易廣狭死生也、 地は地形なり。地形に此の八箇條あり。天下の地形此の八形を出でざる也。遠近はその道のり也、險は山川阻澤あつてけはしき也、易は平陸原野也、廣はひろし、狭はせばき也。険易広狭は地の形兵を用ふるの場の考也。其の地によれば敗る可きを死地と云ひ、其の地によれば勝つ可きを生地と云ふ。おしゆくにも陣をはるにも大いにきらふ處と大いにこのむ處の地也。ゆゑに死生は地の用也、此の場をよく知りてそれに随つて兵の用捨あること也。凡そ動くに遠近ありて軍用諸色のつもりかはれり。相對して兵を動かすにも、労逸のたがひあり。険形は守るに利あつて戦ふに利薄し、ゆゑに守成の地と云ふ。易形は守るにたよりなくして戦ふにたよりあり、ゆゑに草業の地と云ふ。廣きところにては大軍をつかふに利あり、せばき處にては小勢を用ふるに利あり。死地をば速に退き、生地にては先づ我れこれをとる。此の如く能く心をつくる時は又死を變じて生とし、険易・遠近・広狭相變じて用ふるの術あり。

○孫子国字解:『地者、遠近、険易、広狭、死生也』 此段は五事の内にて、三曰地とある、地と云はいかなることぞと、其わけを説けり。地とは地の利なり。如何様なる地形にても、皆それぞれの勝利備はりてあるものゆへ、地の利と云なり。遠近は遠きと近きとなり。険とは難處、易は平地なり。廣はひろき地なり。狭はせばき地なり。死は死地とて引處もなく、逃る處もなく、残らず敵に打ちころさるべき地なり。生地とは命を全うするに便りある地を云ふなり。近方を先にして、遠方をばゆるやかにすべし。難處は歩立に宜しく、平地は騎馬に宜し。廣地は大軍に宜く、生地は守るに宜し、是皆一定したる地の利の大概なり。神功皇后[仲哀天皇の皇后。名は息長足媛(おきながたらしひめ)。開化天皇第5世の孫、息長宿祢王の女(むすめ)。天皇とともに熊襲(くまそ)征服に向かい、天皇が香椎宮で死去した後、新羅(しらぎ)を攻略して凱旋し、誉田別皇子(ほむたわけのみこ)(応神天皇)を筑紫で出産、摂政70年にして没。(記紀伝承による)]は近き熊襲をさし置て、遠き朝鮮を征伐し玉ひ、義経は馬にて鵯越を落したり。或は廣地も小勢を用べからざるに非ず。狭地も大軍を用ひまじきには限るまじ。死地を守り、生地に戦ふも、時の變によりて必しもせざることには非ず。其上地の利のことは、此本文の八品にも限るべからず。尚又九地篇など考合はすべし。とかく本文の意は、敵が地の利を得たるか、失ひたるか、味方が地の利を得たるか、失ひたるかと云ふことを、たくらべ考ふべき為に、かく云へるなり。

○孫子評註:「地とは、遠近・険易(けわしい地と、平らな地。)・死生(死は死地で、退く所も逃げる所もなく残らず敵にうち殺される地。生は生地で、命を全うする条件のそなわっている地。)なり。- 地の重んずる所は死生の二字に在り。○經は是れ平素の事なり。天地の經たるは、粗心の者或は察せざらん。

○曹公:言うこころは九地形勢同ならずに以てして、時に因りて利を制するなりと。論じて九地篇中に在り。

○李筌:形勢の地を得れば、死生の勢有り。

○梅堯臣:形勢の利害を知ることなり。凡そ兵を用うるに先ず地形を知るを貴ぶ。遠近を知れば則能く迂直の計を為す。険易を知れば則能く歩騎の利を審らかにす。広狭を知れば則能く衆寡の用を度る。死生を知れば則能く戦敗の勢を識るなり。



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○天野孫子:第三の地とは、両地点間の距離と、地形上の険しさと、土地の広さと、戦闘上の有利不利の環境とを言う。

○金谷孫子:[第三の]地とは、距離や険しさや広さや高低[などの土地の情況]のことである。

○浅野孫子:第三の地とは、地形の高い低い、国土や戦場の広い狭い、距離の遠い近い、地形の険難さと平易さ、軍を敗死させる地勢と生存させる地勢などのことである。

○町田孫子:地とは、距離の遠近、険しいのと平坦なのと、広いのと狭いのと、死地と生地と、それら地勢のことである。

○武岡孫子:地とは予想される戦場への距離、予想戦場とそこに至る険阻、広狭・高低などの地形、地質。

○フランシス・ワン孫子:地理的条件によって、戦場の遠近・踏破の難易、また、そこは平坦な地形か狭隘な地形か、そして、そこは彼我何れに生のチャンスを与え死のチャンスを与えるものとなるかを知るのである。

○学習研究社孫子:地というのは、戦場が遠くにあるか近くにあるか、険しい所か平坦な所か、広いか狭いか、活動できない所か自由に動ける所か、といったことをいうのである

○著者不明孫子:地とは、戦場が遠いか近いか、険しいか平らであるか、広いか狭いか、高いか低いか、などの地勢に関することである。

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