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孫子研究ブログです。孫子兵法は別名『孫子兵経』、『SUNTZU』、『The Art of WAR』ともよばれています。ナポレオンや毛沢東も愛読していました。注釈者には曹操、杜牧、山鹿素行、荻生徂徠、新井白石、吉田松陰、等の有名人も多いです。とにかく深いです。

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2013-02-12 (火) | 編集 |
孫子 兵法 大研究!

孫子兵法問題集:孫子 兵法 大研究!

孫子兵法問題集(9)

世界の兵法の歴史に燦然と輝く『孫子』の兵法。その兵法は二千五百年の長きに於いて語り継がれてきた珠玉の名言の数々によって構成されている。あなたもその歴史に触れてみませんか?孫子問題集第九作目を世に今送ります!








【1問目】『孫子』用間篇から問題です。
間諜から得た情報が、まだ表沙汰になっていないうちに、外から耳に入ってきた場合は、その情報をもたらした間諜と、そのことを知らせにきた者とをどうすると孫子は言っているでしょう?

(1)情報源はどこなのかをよく聞き出す
(2)殺す
(3)監禁する
(4)追放する

【2問目】『孫子』九変篇より問題です。
本文に、「故に用兵の法は、其の(1)を恃むこと無く、吾れの以て待つ有るを恃むなり。其の(2)を恃むこと無く、吾が攻むべからざる所あるを恃むなり。」とみえますが、さて、空欄(1)、(2)に入る言葉は次のうちどれでしょう。

(1)(1)来たらざる  (2)攻めざる
(2)(1)退く  (2)進まざる
(3)(1)変  (2)数
(4)(1)守らざる  (2)地の利

【3問目】『孫子』に出てくる言葉で「費留」という言葉がありますが、さて、「費留」の説明として正しい本文の説明はどれでしょう?

(1)五間俱に起こって其の道を知ること莫し
(2)三軍既に惑い且つ疑うときは、則ち諸侯の難至る
(3)軍の進むべからざるを知らずして、これに進めと謂い、軍の退くべからざるを知らずして、これに退けと謂う
(4)夫れ戦勝攻取して其の功を修めざる者は凶なり

【4問目】『孫子』行軍篇より問題です。
敵の軍勢が半進半退しているのは、どういう狙いであると、孫子はいっているでしょう?

(1)陣立てをしようとしている
(2)誘い込もうとしている
(3)退却の準備をしようとしている
(4)決戦の準備をしようとしている

【5問目】『孫子』九地篇より問題です。
本文に、「兵の情は速を主とす。人の及ばざるに乗じて不虞の道に由り、其の(1)を攻むるなり。」とありますが、さて、空欄(1)に入る言葉は次のうちどれでしょう?

(1)愛する所
(2)備わざる所
(3)戒めざる所
(4)懼れざる所

【6問目】『孫子』九地篇より問題です。
本文で、「将軍の事は、静かにして以て幽(ふか)く、正しくして以て治まる」と、将軍の仕事全般のことをいっており、また、後文で「三軍の衆を聚めてこれを(1)に投ずるは、此れ将軍の事なり」と、戦場における将軍の仕事について語っているが、さて、空欄(1)に入る言葉は次のうちどれでしょう?

(1)死地
(2)千里
(3)亡地
(4)険

【7問目】『孫子』の作戦篇の冒頭の言葉は次のうちどれでしょう?

(1)孫子曰く、凡そ用兵の法、車騎千駟、革車千乗、帯甲十万…
(2)孫子曰く、凡そ用兵の法、馳車千駟、革車千乗、帯甲百万…
(3)孫子曰く、凡そ用兵の法、馳車千駟、革車千乗、厮徒(しと)十万…
(4)孫子曰く、凡そ用兵の法、馳車千駟、革車千乗、帯甲十万…

【8問目】『孫子』用間篇より問題です。
孫子は間諜には五種類の用い方があるといっています。このうちの一つである「反間」とは次のうちどれでしょう?

(1)味方の間諜に偽り事を伝え、敵に告げさせること
(2)敵の間諜を利用して働かせること
(3)敵の役人を利用して働かせること
(4)敵の村里の人々を利用して働かせること

【9問目】『孫子』勢篇より問題です。
本文に、「衆を闘わしむること寡を闘わしむるが如くなるは、(1)是れなり。」とありますが、さて、空欄(1)に入る言葉は次のうちどれでしょう?

(1)金鼓
(2)忿速
(3)分数
(4)形名

【10問目】『孫子』勢篇より問題です。
本文に、「故に善く敵を動かす者は、これに(1)敵必ずこれに従い、これに(2)敵必ずこれを取る。」とありますが、さて、空欄(1)、(2)に入る言葉は次のうちどれでしょう?

(1)(1)怒すれば (2)和すれば
(2)(1)報いれば (2)奉ずれば
(3)(1)形すれば (2)予(あた)うれば
(4)(1)乗ずれば (2)誘えば








【1問目解説】

正解は(2)。

本文には、「間事未だ発せざるに而も先ず聞こゆれば、間と告ぐる所の者と、皆な死す。」と見える。

情報がより重要であるほど、その情報は千金以上の価値があるものであり、その扱いも当然千金以上のものとなる。その情報が戦争の勝負を左右するものであり、国の命運にかかわるものであれば、より慎重な扱いをしなければならない。間(スパイ)はその軍や国の命運を左右する役目を負っており、褒賞も莫大なものを与えられるが、命をそのためには失うことも日常茶飯事であった。彼らは特別な訓練を受け、その隠密性ゆえに歴史の表舞台に出てくることは決してなかった。手練れといわれる者は、そのあまりに巧妙な手口に各国の要人たちに恐れられていたことであろう。彼らは暗殺も手掛け、敵の将軍級の首を狙うこともあった。逆にそれを守るための活動も「間」は行っていたに違いない。これらの活動ができるのも情報収集あってこそである。『孫子』には、人を暗殺するときは、「必ず先ず守将・左右・謁者・門者・舎人の姓名を知り、吾が間をして必ず索めてこれを知らしむ。」とある。

【2問目解説】

正解は(1)。

本文の意訳は、「そこで、戦争の原則としては、敵のやってこないことを当てにして頼りとするのではなく、いつやってきてもよいような備えがこちらにあることを頼みとするのである。また、敵の攻撃してこないことを当てにして頼りとするのではなく、攻撃できないような態勢がこちらに有ることを頼みとするのである。」となる。

人間は自分の命を左右する場面においても、気分次第では人任せにしてしまい、なあなあになってしまいかねない。孫子はこれを強く戒め、備えは完全だと思える位にしておけ、と言っている。この文のあとでは、孫子は「軍を覆し将を殺すは、必ず五危(必死、必生、忿速、廉潔、愛民)を以てす。察せざるべからざるなり。」と、軍隊を滅亡させ、将軍を戦死させるのは、必ずこの五つの危険のうちのどれかであるから、十分に注意しなければならないと言っている。敵よ来ないでくれ、と祈り僥倖を頼りとすることは、油断極まる行為であり、これは五危の一つ、「必生」に当る。勇がなければ折角要害の地を得ても、それを生かすことができず、守ることはままならない。ここの地点さえ攻撃されなければ大丈夫だろう、と思うことは、敵もそう思っていることであり、ここの地点から攻めれば敵を崩すことができると相手に思わせ、敵を誘い込むことになる。弱点をそのまま放置するのではなく、必ず対策をしなければならないのである。

【3問目解説】

正解は(4)。

(1)は用間篇にでてくる「神紀」の説明。

(2)は謀攻篇の「軍を乱して勝を引く」の説明。

(3)は謀攻篇の「軍を縻す」の説明。

この文を意訳すると、「そもそも戦って勝ち、攻撃して奪い取っておきながら、その戦果を収め整えないで無駄な戦争を続けるのは不吉なことである。」となる。

竹簡孫子の本文は若干これと異なる。

戦闘で勝利を得ても、その勝利が大局的に見た場合、何の効果もなかったものであれば、これは無駄な勝利となる。そればかりか時間も、兵士も消耗し、戦略的には失敗であるといえるだろう。それ故に、この文は無駄な戦力の労費を戒めた言葉といえる。
局地戦でいくら勝利を収めても、大局的な勝利を収めなければ意味はない。ゆえにこの本文は、戦術よりも戦略を重んじた言葉であるとも読むことができる。

【4問目解説】

正解は(2)。

(1)は「軽車の先ず出でて其の側(かたわら)に居る者は陣するなり。」で、「戦闘用の軽車を前に出して、軍の両横を備えているのは、陣立てをしているのである。」という意味。

(2)は「半進半退する者は誘うなり。」で、「敵の部隊の半分が進み、半分が退いて統率がとれていないようであるのは、こちらに誘いをかけているのだ。」という意味。これが正解。
これは詭道の一つである。わざとこちらに「虚」の状態をつくり、敵を十分に誘い込んだ上で、味方を「実」に転化させ、狙っている敵部隊を殲滅する作戦である。

(3)は、「辞の強くして進駆する者は退くなり。」で、「言葉つきが強硬で、進攻してきそうなのは、退却の準備である。」という意味。

(4)は、「奔走して兵を陳(つら)ぬる者は期するなり。」で、「忙しく走り回って兵士を整列させているのは、決戦の準備である。」という意味。

行軍篇には、敵がこういう状態の場合には、こういうことである、といった例がたくさん載ってある。これらの例はほんの一例らしく、当時、軍師に敵がこういう状態のようだが、これはどういったことか、と問えば瞬時に答えられたようであるから、様々なパターンを兵法家たちは事前に頭に入れておいていたのであろう。
戦の状況判断は一瞬一瞬が勝負である。軍師はその一瞬に勢いを乗せ、一瞬に軍形を変える指示を出さねばならない。血のたぎる熱き戦場に、独り冷徹な心で戦況を判断しなければならない軍師には、特別な訓練も必要であったであろう。それには必ず戦場に赴くことも必要であった筈である。それらの血の通った兵法の結晶が『孫子』であり、古より二千五百年引き継がれてきた所以なのである。

【5問目解説】

正解は(3)。

本文を意訳すると、「戦争の実情は迅速が第一である。敵の配備がまだ終わらない隙をついて思いがけない方法を使い、敵が警戒していない所を攻撃することである。」となる。

作戦篇に「兵は拙速を聞く」と本文に見える。この文は、「拙速は巧遅に勝る」や「拙速は巧遅に如かず」、「拙速は巧遅に優る」などと一般に言われ、迅速が一番である、という意味に捉えられてきた。ちなみに本文では「巧遅」ではなく「巧久」となっている。これは「巧遅」が「おそくてもうまい」という意味に対し、「巧久」は「長期戦でもうまい」という意味で、厳密に言えば意味が異なる。これはひとまず置いておいて、まず「拙速」の意味であるが、「拙速」は、少々拙くとも速さが第一である、という意味で一般には知られている。しかし、「拙」の意味には『老子』によると、「自然な」や「手をかけない」といった意味があり、「あれこれ余計なことを考えず、素早く行動せよ」というのが、本来の「拙速」の意味であると思われる。それでこそ、敵の不意をつくことができ、大戦果を収めることができる秘訣であろう。

【6問目解説】

正解は(4)。

本文の意訳は、「全軍の大部隊を集めて、そのすべてを決死の意気込みにするような危険な土地に投入する、それが将軍たる者の仕事なのである。」、となる。

「険」とは険しい危険な地形のことであるが、ここの本文の場合、「険」は喩えであり、兵士を背水の陣に追い込めと言っているのである。往く所無き所に兵士を追い込めば、兵士は死にもの狂いで敵と戦う。たとえ味方が敵の数に及ばなくとも、味方の絶対的な状況(地形)の不利が、味方に決死の思いを抱かせることになり、実力以上の力を発揮させることができるのである。ここの本文では、それこそが将軍の仕事であると述べている。決死の場面を潜り抜けてきた者でなければ決して出てくることのない言葉である。

【7問目解説】

正解は(4)。

(2)の「帯甲百万」はもうすこし後の時代になってからのこと。

厮徒とは「めしつかい。しもべ。」のこと。

この問題は『孫子』をよく読んでいる方にとっては簡単だったかもしれないですね。この文からわかることは、孫武生存時は戦の規模はこのくらいが主流だったということでしょう。或いは若干誇張された数字かのどちらかだろうと思われます。

唐の時代の詩聖杜甫の詩にもでてきますが、戦があれば周辺の物価は跳ね上がり、とてもそこには住めなくなり移住を余儀なくされ、遠くの知人を頼りにするしかなかったそうです。なにしろ男手はすべて駆り出され、誰もいないからと言って年よりのおばあさんまでも飯炊きに連れて行かれたというのだから戦場の惨状が目に浮かぶようです。また結婚式の次の日に旦那が駆り出された詩も載っており、戦争の悲惨な現実がよくわかります。

【8問目解説】

正解は(2)。

(1)は死間のこと。

(3)は内間のこと。

(4)は因間(郷間)のこと。

敵の間諜を自分の間諜として働かせる二重スパイは相当貴重な存在である。ちなみに日本では山本勘助が有名である。逆に言えば、自分の間諜が相手の反間となっていないかの警戒を怠ってはならないということである。これは間諜が間諜を相互に見張らなければなかなか見破ることはできないであろう。そのためには互いに疑われることの無いようにするための間諜同士の掟もあったはずである。これらの網をかいくぐって反間として働く間諜はまさに宝石中の宝石であったことであろう。

【9問目解説】

正解は(4)。

(1)の金鼓は形名の一部。形名の一部としては他には旗・幟などがある。

(2)は怒りはやること。

(3)は、本文の「闘わしむる」が、「治むる」になれば「分数」で正しい。

この本文の意訳は、「大勢の兵士を戦闘させても、まるで少人数を戦闘させているように整然といくのは、旗や鳴り物などの指令の道具がそうさせるのである。」、となる。

金鼓などの音が鳴るものは、真っ暗な夜間に効果を発揮し、旗や狼煙などの目で見てはっきりわかるものは日中に効果を発揮する。これらの道具や手段があれば、兵士たちの耳目を一つにすることができ、例え暗闇でも整然とした部隊行動がとれ、より効果的に敵部隊を攻撃することもスムーズに退却することもできるのである。

【10問目解説】

正解は(3)。

この本文を意訳すれば、「そこで、巧みに敵を誘い出すものは、敵にわかるような形を示すと、敵はきっとそれについてくるし、敵に何かを与えると、敵はきっとそれを取りに来る。」となる。この文は、計篇の詭道の一つである、「利にして之れを誘う」の文を詳しく説明したものとも解釈できる。敵を誘うには、自分の形をはっきり敵に示せばよく、そうすれば敵はそれに対応した形をとってくるので、敵をやっつけることができるその時まで十分に引き付けよ、と孫子は言っている。速すぎてもダメ、遅すぎてもダメ、要は釣りと同じであろう。そのタイミングを誤ることなくその時が来たらば相手の様子に合せ素早く対処するということである。それができるのは百戦錬磨の将しかおるまい。軍師は敵の将のレベルに合せた味方の将を繰り出すべきである。この本文にあるような臨機応変の駆け引きこそ戦の醍醐味であり、この駆引きの中に「勢い」を作り出すことができる将こそ「国の宝」とよばれるべきである。










2013-01-21 (月) | 編集 |
孫子 兵法 大研究!

孫子兵法問題集:孫子 兵法 大研究!

孫子兵法問題集(8)

『孫子』を学びたい方はぜひともこの問題集に挑戦していただきたいと思います。『孫子兵法』はあなたの人生を変えることができる数少ない書物のひとつと言えるでしょう。深く知ることで応用の幅も広がることは間違いありません。ぜひともチャレンジしてみてください。








【1問目】『孫子』の、有名な「風林火山」の四句の前に、「故に兵は(1)を以て立ち、利を以て動き、分合を以て変を為す者なり。」、とありますが、さて、空欄(1)に入る言葉は次のうちどれでしょう?

(1)権
(2)詐
(3)理
(4)算

【2問目】『孫子』軍争篇より問題です。
本文に、「衆を用うるの法は、高陵には向かう勿れ、倍丘には迎うる勿れ、佯北には従う勿れ、囲師には(1)を遺し、帰師には遏(とど)むる勿れ。」、とありますが、さて、空欄(1)に入る言葉は次のうちどれでしょう?

(1)闕(けつ)
(2)疾
(3)懟(つい)
(4)翳(えい)

【3問目】『孫子』地形篇の六つの将の過ちの箇所から問題です。
本文に、「将は敵を料(はか)ること能わずして、少を以て衆に合い、弱を以て強を撃ち、兵にも先鋒無きは、(1)と曰う。」、とありますが、さて、空欄(1)に入る言葉は次のうちどれでしょう?

(1)走る
(2)陥る
(3)弛む
(4)北(に)ぐる

【4問目】『孫子』地形篇より問題です。
本文に、「故に進みて名を求めず、退きて罪を避けず、唯だ(1)を是れ保ちて、而も利の(2)に合うは、国の宝なり。」、とありますが、さて、空欄(1)、(2)に入る言葉は次のうちどれでしょう?

(1)(1)家 (2)君
(2)(1)財 (2)法
(3)(1)民 (2)主
(4)(1)国 (2)衆

【5問目】『孫子』計篇で、五事七計と勢、詭道について述べた後、「此れ兵家の勝にして先には伝うべからざるなり。」、の文が見えますが、この文の解釈として、適当でないと思われるものは次のうちどれでしょう?

(1)兵家の勝ち方は秘密のものだから、人に伝え洩らすことはできない。
(2)五事七計を理解していない者に、詭道を先に伝授することはできない。
(3)兵家の勝ち方は臨機応変の奇策によるものであるから、あらかじめどのようにして勝つかは人に話すことができない。
(4)兵家の巧妙な権謀による勝ち方というものは、私が君主に召し抱えられる前には伝えることはできない。

【6問目】『孫子』の一番最初の篇名は「始計」、又は「計」ですが、ではこの篇名の由来はどこからきていると考えられるでしょう?
次のうち由来の一つとして当てはまらないと思うものを、選んでください。

(1)五事七計を計算すること
(2)詭詐の謀事
(3)廟算
(4)臨機応変の処置

【7問目】『孫子』九地篇に、「敢えて問う、敵衆(おお)くして以て整にして将(まさ)に来たらんとす。之れを待つこと若何(いかん)。曰く、其の(1)を奪わば、則ち聴かん。」とありますが、さて、この空欄(1)に入る言葉は次のうちどれでしょう?

(1)及ばざる所
(2)戒めざる所
(3)輸(いた)す所
(4)愛する所

【8問目】漢の劉邦の臣下の韓信が、背水の陣をしき勝利した後、戦にどうして勝ったのかわかっていない部下たちに、「兵法に、『これを亡地に投じて然る後に存し、これを死地に陥れて然る後に生く』、とあるではないか。」と説明しましたが、さて、この言葉は『孫子』の何篇にでてくる言葉でしょう?

(1)九変
(2)地形
(3)軍争
(4)九地

【9問目】『孫子』地形篇より問題です。
本文に、「故に曰く、彼れを知りて己れを知れば、勝 乃ち殆うからず。(1)を知りて(2)を知れば、勝 乃ち全うすべし。」とありますが、さて、空欄(1)、(2)に入る言葉は次のうちどれでしょう?

(1)(1)用 (2)妙
(2)(1)地 (2)天
(3)(1)機 (2)先
(4)(1)利 (2)敏

【10問目】『孫子』作戦篇の、「故に敵を殺す者は怒なり。」の解釈には2つあり、一つは、「敵に勝って強さを増す方法として、『怒』の感情を用いよ。」という解釈である。

そしてもう一つのほうが、火攻篇の「主は怒りを以て師を興すべからず。将は慍(いきどお)りを以て戦いを致すべからず。」の文を根拠として、「『怒』の感情は軍を破滅にもたらすものであるから、『怒』の感情をもって、敵をむやみに殺してはならない」、というものである。
では『怒り』ではなく、何によって軍を動かすべきだと火攻篇で孫子は言っているでしょう?

(1)分合(集合分散)の法
(2)安定した心
(3)利に合うかどうか
(4)即戦速決








【1問目解説】

この文の意訳は、「そこで、戦争は敵の裏をかくことに主眼をおき、利のある所に従って行動し、分散や集合で変化の形をとっていくものである。」、となる。

計篇で、「兵は詭道なり。」と孫子は言っていますが、おなじようなことをここでも孫子はまた強調して述べています。、我々は、敵を欺くことが、戦争の基本戦術であるということを理解しなくてはなりません。


【2問目解説】

正解は(1)。

(3)の懟は、怨み怒ること、の意。

(4)の翳は、かげり、くもり、の意。

この文の意訳は、「そこで兵の運用の方法は、高い丘の上に陣取っている敵軍には攻め上がってはならず、丘を背にして攻撃してくる敵軍を迎え撃ってはならず、偽って敗走する敵軍を追撃してはならず、包囲した敵軍には逃げ口を残しておき、故国に帰還しようとする敵軍を遮って止めたりしてはならない。」、となる。

闕とは、「欠」と同意で、ここでは包囲網の一角をわざと開けておくこと。

逃げ場をつくることで、敵に、もしかしたら逃げ延びることができるかもしれない、と思わせ、戦意を失わせる策である。逃げ場を作らなければ、敵は死にもの狂いで戦うことになり、自軍にとって不利となる。敵に背水の陣をとらせることなく、戦意を失わせ、逃走させてから、自軍は猛追撃を行い、敵軍を壊滅させるということが、この策の狙いである。


【3問目解説】

正解は(4)。

(1)の「走る」とは、「夫れ勢い均しきとき、一を以て十を撃つは曰(すなわ)ち走るなり。」、と本文にあります。

(2)の「陥る」とは、「吏の強くして卒の弱きは曰ち陥るなり。」、と説明されています。

(3)の「弛む」とは、「卒の強くして吏の弱きは曰ち弛むなり。」と本文に説明があります。

この文の意訳は、「将軍が敵情を考えはかることができずに、小勢で多勢の敵と戦い、弱い勢いで強い敵を攻撃し、軍隊の先鋒に優れた兵士もいないのは、必ず戦闘に敗退する軍隊と呼ばれる。」、となる。

将軍は、大勢の味方の感情に流されること無く、軍を統制し、兵の実力に見合った用兵をおこない、冷静に敵軍に対処しなければならないことを強く誡めている。


【4問目解説】

正解は(3)。

この文の意訳は、「だから、功名を求めないで進むべき時に進み、罪になることをも恐れず退くべき時に退き、ひたすら人民を大切にし、主君の利益にも合致するような将軍は、国家の宝である。」、となる。

ほとんどの者は、最後の決断を迫られたとき、自分の判断の方が正しいとわかっていても、上司の指示にやみくもに従うなどして、もしも事態がうまくいかなかったとき、責任を自分がとらなくてもいいようにしてしまう。これは、うまくいかなかったとき、罪を部下に擦り付けることが日常化している職場におこる現象である。周辺の環境がこのようでは、ここの本文にある「国の宝」が生まれる可能性は皆無に近い。下の声を取り入れる土壌や、部下にある程度の裁量権を任せ、干渉しないといったことが、より多くの利益を生むこつと言えるだろう。


【5問目解説】

正解は(4)。

この「先には伝うべからざるなり。」の文は、注釈者によって、問題の選択肢にあるように、これまでいろいろな解釈がなされてきた。
この(1)、(2)、(3)のうちのどれかが孫子の意に沿ったものと言えるであろうが、どれが真意であったかは今のところはわかっていない。
少なくとも、詭道の説明のあとにこの文が続くことから、詭道に関わりがあることだけは確かであることがわかる。


【6問目解説】

正解は(4)。

計とは、「はかり考えること」、又は「計謀」の意も含まれると考えられる。この意味に一致しないものは(4)番のみである。

(4)は本文の「勢とは利に因りて権を制するなり。」の言葉から引用。

『孫子』にいう「計」の本来の意味は「はかり考えること」であり、「五事七計」のみ最初の編纂当時には記載されていたものが、「計」には「権謀」という意味もあることから、後の時代に「詭道」の文が付け足されたとする説もある。


【7問目解説】

正解は(4)。

「敵の愛するところを奪え」、という言葉はこれまでに、どこかでみなさんもきいたことがあったかもしれません。その由来が『孫子』のこの文です。

この文の意訳は、「お尋ねしたいが、敵が秩序立った大軍でこちらを攻めようとしている時には、どのようにしてこれに対処したらいいだろうか。孫武がいうには、まず敵が大切にしている(重視している)もの(地点)を奪い取れば、敵はこちらの思い通りになるでありましょう。」、となる。


【8問目解説】

正解は(4)。

韓信は、中国秦末から前漢初期にかけての武将。劉邦の元で数々の戦いに勝利し、劉邦の覇権を決定付けた。張良・蕭何と共に漢の三傑の一人。

韓信は兵を操らせては人に並ぶものがないものであったが、大局的な世の中の流れを見ることに関しては欠けていた。ひとことでいえば、「戦術」は超一流であったが、「戦略」はお粗末であった。最後は信用していた蕭何に裏切られる形で捕えられ処刑されてしまった。並ぶ者のない大将軍の末路としては残念なものであった。

『孫子』は処世術としても応用できる書物である。戦場のみでその真価を発揮するものではない。木をみて森をみないことがあってはならない。


【9問目解説】

正解は(2)。

「地」と「天」の位置が逆の本もある。
また、「全うすべし」が「窮まらず」となっている本もある。

この文の意訳は、「だから、『敵情を知って味方の事情も知っておれば、そこで勝利にゆるぎがなく、土地のことを知って自然界の巡りのことも知っていれば、そこでいつでも勝てるのである。』といわれるのである。」、となる。

「全うする」の語は、謀攻篇にもでてきており、損害を少なくして敵に勝つという意味で使われてきた。ここでも同じような意味でよいだろう。


【10問目解説】

正解は(3)。

火攻篇の、「主は怒りを以て師を興すべからず。将は慍(いきどお)りを以て戦いを致すべからず。」の文の後に、「利に合えば而(すなわ)ち動き、利に合わざれば而ち止まる。」とある。
一時の感情で開戦することが当たり前だった当時の世界観を戒めたのがこの言葉であった。
孫子はこのあとに「亡くなった国は建て直すことはできず、死者は生き返らせることはできない。」と言っている。










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2013-01-13 (日) | 編集 |
孫子 兵法 大研究!

孫子兵法問題集:孫子 兵法 大研究!

孫子兵法問題集(7)

遂に、問題集も本格化!『孫子』をより理解できるよう「本文」に重点を置いた問題をズラリ、揃えました!何問解けるかな?








【1問目】勢篇より問題です。
本文の、「故に善く戦う者は、これを勢に求めて人に責(もと)めず。故に能く人を擇(えら)びて勢に任ぜしむ。」の「人を擇びて」の解釈には2通りあります。通説として知られているのは、「人をえらぶ、えらびぬく、えらびわける」の意ですが、もう一つは、「擇」の字を「斁(えき)」の借字として、「人を(1)。」というように解釈します。さて、(1)に当てはまるものは次のうちどれでしょう?

(1)頼る
(2)称える
(3)鼓舞する
(4)あてにしない

【2問目】虚実篇より問題です。
本文に、「故に、人を形して我無形なれば、則ち我(1)にして敵(2)。」とありますが、さて、空欄(1)、(2)に入る言葉は次のうちどれでしょう?

(1)(1)約  (2)寡(すくな)し
(2)(1)専ら  (2)分る
(3)(1)衆  (2)空し
(4)(1)無窮  (2)至らず

【3問目】虚実篇より問題です。
本文に、「故に戦いの地を知り、戦いの日を知らば、則ち千里にして(1)すべし。」、とありますが、さて、空欄(1)に入る言葉は次のうちどれでしょう?

(1)会戦
(2)行軍
(3)疾戦
(4)駐留

【4問目】火攻篇より問題です。
本文に、「故に明主はこれを慮(おもんぱか)り、良将はこれを修め、利に非ざれば動かず、得るに非ざれば用いず、危うきに非ざれば戦わず。」、とありますが、さて、本文の「これ」とは、いったい何を指しているでしょうか?

(1)順詳
(2)必取
(3)費留
(4)詭道

【5問目】行軍篇より問題です。
本文に、「凡そ此の四軍の利は、黄帝の四帝に勝ちし所以なり。」、の「四軍」とは、「ある地形にいる軍隊」を指しますが、次の4つのうち、正しくないものはどれでしょう?

(1)深谿(しんけい→深い谷)に処るの軍
(2)平陸に処るの軍
(3)斥沢(せきたく→沼沢地)に処るの軍
(4)水上に処るの軍

【6問目】九地篇より問題です。
本文の、「敢えて問う、兵は率然(首と尾が自在に素早く動く常山の蛇)の如くならしむべきか、曰く可なり。夫れ呉人と越人との相い悪(にく)むや、其の舟を同じくして済(わた)りて風に遇うに当たりては、其の相い救うや(1)の如し。」は、有名な「呉越同舟」の語源となった文章ですが、さて、空欄(1)に入る言葉は次のうちどれでしょう?

(1)兄弟
(2)左右の手
(3)師弟
(4)刎頚(ふんけい)の友

【7問目】世に有名な「風林火山」は『孫子』の何篇にでてくる言葉でしょう?

(1)軍争
(2)火攻
(3)行軍
(4)九変

【8問目】「風林火山」の「其の疾きこと風の如く、其の徐なること林の如く、侵掠すること火の如く、動かざること山の如し。」の、この言葉は広く知られています。実はこのあとに似たような文が続くのですが、そちらはあまり世に知られていません。

では、ここで問題です。

この「風林火山」の文の後に、「知り難きことは(1)の如く、動くことは(2)震の如し。」と続くのですが、では空欄(1)、(2)に入る言葉は次のうちどれでしょう?

(1)(1)陰 (2)雷
(2)(1)闇 (2)怒
(3)(1)天 (2)地
(4)(1)幽 (2)星

【9問目】形篇より問題です。
本文に、「昔(いにしえ)の善く戦う者は、先ず勝つべからざるを為して、以て敵の勝つべきを待つ。勝つべからざるは(1)に在るも、勝つべきは(2)に在り。」と、みえますが、さて、空欄(1)、(2)に入る言葉は次のうちどれでしょう?

(1)(1)守 (2)攻
(2)(1)正 (2)奇
(3)(1)己 (2)敵
(4)(1)形 (2)勢

【10問目】形篇より問題です。
本文に、「古(いにしえ)の所謂(いわゆる)善なる者とは、勝ち易きに勝つ者なり。故に善なる者の戦うや、(1)無く、智名無く、勇功無し。」、とありますが、さて、空欄(1)に入る言葉は次のうちどれでしょう?

(1)大敵
(2)巧久
(3)恒形
(4)奇勝









【1問目解説】

正解は(4)。

この文の意訳は、「そこで、戦に巧みな者は、戦いの勢いによって勝利を得ようと求めて、人材に頼ろうとしない。だから、人をあてにしないで、軍を勢いに乗せるということに重点を置く。」、となる。

「擇」をすてる、損するの意味ではなく、えらぶの意味で訳す場合は、「(いろいろな長所を持った)人々を選び出して、(その人々が創りだした)勢いに軍隊全体を乗せるのである。」、となる。


【2問目解説】

正解は(2)。

この文の意訳は、「そこで、敵には、はっきりした態勢をとらせて(虚)、こちらでは、敵に本来の意図を読み取られないように態勢を隠している(無形)(実)というのであれば、こちらは(敵の態勢に応じて)兵力を自在に集中させ、敵はこちらの意図がわからないから守りの各要所に兵を分散させる(またはこちらの(本来の意図を隠した、眼に見える表立った)軍の動きにあわせて兵を分散させる。)。」、となる。


【3問目解説】

正解は(1)。

この文の意訳は、「そこで、戦うべき場所がわかり、戦うべき時期が分かったなら、遠い道のりでも合戦することができる。」、となる。

敵が、戦う場所や時期が逆にわからなければ、敵がいくら大軍でも、すばやく臨戦態勢がとれないから、不意をつくことができるのである。

こちらが戦う場所・時期がわからないと、備えを充分にもっている敵に襲われ、大敗を喫することになるかもしれない。


【4問目解説】

正解は(3)。

(1)は、つまびらかにおしはかること。九地篇にでてくる言葉。

(2)は、兵士に賞罰を与えることで、軍を統制していく「必勝(必ず勝ちを取る)の軍」。行軍篇の言葉。

(4)は、欺きの道。計(始計)篇の言葉。

この文の意訳は、「だから、聡明な君主はよく思慮し、立派な将軍はよく修め整えて、有利でなければ行動を起さず、利益がなければ軍を用いず、危険が迫らなければ戦わない。」、となる。


【5問目解説】

正解は(1)。

四軍は(2)、(3)、(4)のほかに、「山に処るの軍」を指す。

ちなみに、「山に処るの軍」の利とは、「山越えをするときは、谷に沿って行き、高いところをみつけては高所に居り、高い所で戦うときには上にいる敵に立ち向かってはならない」、ということである。


【6問目解説】

正解は(2)。

呉王闔閭は孫武に「兵は率然のようにならせることができるであろうか。」と問いた答えが、この文である。「呉越同舟」の場合のように、兵をこのような条件におくことが、兵をおさめる要訣である、と孫子はいっている。だから、いくら陣が固くみえるようでも、このように兵が結束していなければ、もろい、ということである。


【7問目解説】

正解は(1)。

「風林火山」はだれでも知っている言葉ですが、この問題は難しかったかな?

『孫子』には「風林火山」以外にも名句が多いので、みんなも気に入ったものがあったら、ぜひ覚えてね!


【8問目解説】

正解は(1)。

「風林火山」のみでなく、このあとに続く2句も覚えやすいので、記憶にとどめておくとよいでしょう。

この2句の意訳は、「暗闇のようにわかりにくくし、雷鳴のように突然激しく動く。」、となる。


【9問目解説】

正解は(3)。

この文の意訳は、「むかしの戦いに巧みであった人は、まず(味方を固めて)だれにも打ち勝つことのできない態勢を整えた上で、敵が(弱点を現わして)誰でもが打ち勝てるような態勢になるのを待ったのである。誰にも打ち勝つことができない態勢を作れるのは味方であるが、味方が打ち勝てる態勢を作るのは敵である。」、となる。

敵が勝つような状況は、味方がしっかりしていれば現出しない。だから負けることはないが、こちらが勝つ条件が揃うのは、敵次第なので、勝てるかどうかはわからない、ということである。

つまり、まず「守り」を万全にすることが第一であり、それから、いつでも敵に隙があれば撃破できるように、備えを万全にして、「積極的」に「待つ」、ということである。

ただし、敵に勝てる条件がそろわないうちに、出撃することがないよう気を付けなければならないことは言うまでもない。

「待つこと」と、「出撃」のタイミングをしっかり捉えられることが、将にとって重要な能力の一つとなる。


【10問目解説】

正解は(4)。

この文の意訳は、「昔の戦いに巧身と言われた人は、勝ちやすい(普通の人では捉え難い)機会をとらえて、そこで打ち勝ったものである。だから戦いに巧みな人が勝った場合には、人目を引くような(人が珍しいと思うような)勝利は無く、智謀が優れている、というような名誉もなければ、武勇が優れている、という功名もない。」、となる。

それだけ、勝利をスムーズに得られる機会を捉えることは、難しいということであり、また、スムーズに勝利してしまうことにより、世の中にその名が広く知れ渡るということもない、ということである。

勝てるタイミングを逃さない、ということが大事なのである。

ちなみに孫子は、世の中に名が知れ渡るのを別に嫌がっているわけではないので注意してください。










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