2012-04-14 (土) | 編集 |
孫子 兵法 大研究!
本文注釈:孫子 兵法 大研究!
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『賞罰孰れか明らかなる、と。』:本文注釈
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明-①光があたってあかるい。はっきり見える。あかるさ。あかり。②はっきりしている。あきらか(にする)。あかす。③頭脳がはっきりしていて、かしこい。物を見通す力(がある)。④夜があける。次の日・年になる。あくる。⑤〔仏〕智慧ちえ。学者の修めるべき科目。光明の意。⑥神。祭られた死者。⑦ミン中国の王朝の名。一三六八~一六四四年。【解字】会意。「日」+「月」。あかるい意。また一説に、「冏」(=あかりとりの窓)の変形+「月」で、窓から月光がさしこんで物がはっきり見える意。
註
○天野孫子:「明」はここではあいまいにせず正しく行なうの意。この句も前述の五事にはなかったもの。以上の七句において述べたものが七計と言われる。これについて一説に『直解』は「按ずるに旧説に上の文を七計と為す。愚謂へらく、強と曰ひ練と曰ひ明と曰ふ。軍を行ふに法ある者に非ざれば能はず。孫子必ず詳にして言ひ、以て人に示さんと欲するのみ。豈五事の外に、而も別に七計あらんや」と。また『発微』[篠崎司直の『孫子発微』]も「夫れ令は必ず法に由り、法は必ず令を以て行はる。法令相待つ。是れ豈二物ならんや。故に曲制官道主用は皆令を待ちて行はる。兵衆の強、士卒の練、賞罰の明も亦未だ嘗て法令に由らずんばあらず。故に此三者は法令の外に非ず。之を法令の下に陳ぶる所以なり」と。また『折衷』[平山兵原の『孫子折衷』]は「徐象卿云ふ、兵衆の句は主用の二字を発明す。言ふこころは軍資其用を得るは兵衆強き所以なり、となり」「徐象卿云ふ、士卒の句は曲制の二字を発明す。言ふこころは部曲の整斉は、士卒、練れる所以なり、となり」「徐象卿云ふ、賞罰の句は官道の二字を発明す。言ふこころは官を有道に分つは、賞罰明なる所以なり、となり」と。
○守屋孫子:賞罰はどちらが公正に行なわれているか。
○重沢孫子:第七は賞罰。信賞必罰の原則が、両国のどちらでより正しく守られているかの比較です。士気に直接かかわる事柄だけに、勝敗の可能性を判断する重要な条件となりえます。
○田所孫子:最後には賞罰が如何に公明厳正に行なわれているか否かについて、敵味方の両々比較研究して計算してみよと、孫子は言う。
○著者不明孫子:【賞罰孰明】賞罰が明らかとは、賞罰がいいかげんでなく、厳格公正適切に施されることをいう。
○諺義:賞は有功を賞する也。罰は下知をそむくもの法をやぶるものを罰する也。明とは賞罰はありといへども明ならざれば其の實を得ず、このゆゑに明の字を用ふる也。軍旅のこと就中賞罰の明なるを以て三軍の要とす。名将皆手柄功名のひはん(批判)に念を入れて、少しもくらからざるごとく戒あり。戦場は人の生死一大事のかかる處也。此所において功を立つる時、上くらくして其のせんさくひはん邪路なるときは、勇士皆軽薄を事とし、實儀を失ひて、遂には軍事やぶるべし。このゆゑに両国の賞罰孰れか明なると考ふる也。三略に云はく、賞罰必ず信なること天の如く地の如く、乃ち人を使ふ可しと、又云はく、軍は賞を以て表と為し、罰を以て裏と為す、賞罰明なることは則将の威行はると。以上是れを七計と云ふ。其の言相かはれりといへども、根本五事より出でたり。外に七計ありと云ふにあらず。然れば五事をよく工夫せしむるときは、七計おのづから備はる也。主将・士卒・兵衆は其の人にかかる。天地は天の時地の利也。法令賞罰は兵を用ふるの用法也。主は道に志を厚くし、将は材を逞しうして、能く事機に應ずるが如くならしめ、士卒は常にこれが耳目手足をねりて、其の心を一ならしめ、兵具器械は其の制作に念を入れ、其の事を心得たらん輩をあつめてこれをなさしめ、人馬は遠きにこたへ寒暑にいたまず、重きをになひけはしきをあゆみて疲労せざるがごとくならしめ、其の上に法を定めて曲制・官道・主用をととのへ、下知法度を立て人の心を定め、賞罰を明にして邪曲をただし、下の情を通ぜしめ、而る後に材能五徳あらん大将を命じてこれをひきゐしむるときは、兵法かくる所あらざる也。
○孫子国字解:賞みだりなれば、費多けれども士卒恩と思はず、罰みだりなれば、殺せども士卒恐れず、故に功あれば、意趣ある人をも賞し、罪あれば、親子にても赦さず、かやうなるを賞罰明かなりと云。敵と味方とは、何れか賞罰明かなりと、たくらべはかることを、本文にかく云へり。右の七計の内、兵衆孰強と云より、末の三は皆法のよく立たる上のことを、又委細に學たるものにて、七計を五事に合せ見れば、末の四は皆五事の内の法なり。五事の内にては、法と云もの尤肝要なることゆへ、孫子が念を入れて、細かに分けて云たる也。諸葛孔明も、名ある将の備にても、法なき軍は破りやすし。名なき将の備なりとても、法ある備は破り難しと云へり。
○杜佑:善に賞し、悪に罰す。知るや誰か分けて明なるぞ。故に王子曰く、賞度ること無くば則費して恩無し、罰度ること無くば則戮して威無し、と。
○杜牧:賞して僭[分を越える。下の者が身分不相応に上の者をまねる。おかす。]らず、刑して濫れず。[①水があふれ出る。②度が過ぎる。みだれる。みだりに。むやみに。【解字】形声。「水」+音符「監」(=中にとじこめるわく)。水がわくを越えて外へはみ出す意。]
○梅堯臣:有功を賞し、有罪を罰す。
○王晳:孰れか能く賞して必ず功に當て、罰して必ず情に稱す。[情に称す-その事態の様子に釣合わせる。]
○張預:賞を當てるとは、仇怨むと雖も必ず録すなり。罰を當てるとは父子と雖も舍かざる[舍-すておく。]なり。又司馬法に曰く、賞は時を逾えず、罰は列を遷さずば、誰に於いて明と為さん、と。
意訳
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○金谷孫子:賞罰はどちらが公明に行なわれているかということで、
○浅野孫子:賞罰はどちらが明確に実施されているか、といったことである。
○町田孫子:賞罰はどちらが公正に行なわれているか、の七つである。
○天野孫子:いずれがよりよく賞罰を明らかにして行なわれていようか。その優劣の数をそれぞれ計算する。
○フランシス・ワン孫子:そして、何れの方がより公正な賞罰を行っているか。
○大橋孫子:賞罰はどちらが厳正公明に行われているか、の七点を検討すれば、
○武岡孫子:賞罰はどちらの軍隊が厳正公明に行なわれているか。
○著者不明孫子:賞罰はどちらが厳正であるか-の七項目で、
○学習研究社孫子:賞罰は、どちらのほうが公明正大に行われているか」
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明-①光があたってあかるい。はっきり見える。あかるさ。あかり。②はっきりしている。あきらか(にする)。あかす。③頭脳がはっきりしていて、かしこい。物を見通す力(がある)。④夜があける。次の日・年になる。あくる。⑤〔仏〕智慧ちえ。学者の修めるべき科目。光明の意。⑥神。祭られた死者。⑦ミン中国の王朝の名。一三六八~一六四四年。【解字】会意。「日」+「月」。あかるい意。また一説に、「冏」(=あかりとりの窓)の変形+「月」で、窓から月光がさしこんで物がはっきり見える意。
註
○天野孫子:「明」はここではあいまいにせず正しく行なうの意。この句も前述の五事にはなかったもの。以上の七句において述べたものが七計と言われる。これについて一説に『直解』は「按ずるに旧説に上の文を七計と為す。愚謂へらく、強と曰ひ練と曰ひ明と曰ふ。軍を行ふに法ある者に非ざれば能はず。孫子必ず詳にして言ひ、以て人に示さんと欲するのみ。豈五事の外に、而も別に七計あらんや」と。また『発微』[篠崎司直の『孫子発微』]も「夫れ令は必ず法に由り、法は必ず令を以て行はる。法令相待つ。是れ豈二物ならんや。故に曲制官道主用は皆令を待ちて行はる。兵衆の強、士卒の練、賞罰の明も亦未だ嘗て法令に由らずんばあらず。故に此三者は法令の外に非ず。之を法令の下に陳ぶる所以なり」と。また『折衷』[平山兵原の『孫子折衷』]は「徐象卿云ふ、兵衆の句は主用の二字を発明す。言ふこころは軍資其用を得るは兵衆強き所以なり、となり」「徐象卿云ふ、士卒の句は曲制の二字を発明す。言ふこころは部曲の整斉は、士卒、練れる所以なり、となり」「徐象卿云ふ、賞罰の句は官道の二字を発明す。言ふこころは官を有道に分つは、賞罰明なる所以なり、となり」と。
○守屋孫子:賞罰はどちらが公正に行なわれているか。
○重沢孫子:第七は賞罰。信賞必罰の原則が、両国のどちらでより正しく守られているかの比較です。士気に直接かかわる事柄だけに、勝敗の可能性を判断する重要な条件となりえます。
○田所孫子:最後には賞罰が如何に公明厳正に行なわれているか否かについて、敵味方の両々比較研究して計算してみよと、孫子は言う。
○著者不明孫子:【賞罰孰明】賞罰が明らかとは、賞罰がいいかげんでなく、厳格公正適切に施されることをいう。
○諺義:賞は有功を賞する也。罰は下知をそむくもの法をやぶるものを罰する也。明とは賞罰はありといへども明ならざれば其の實を得ず、このゆゑに明の字を用ふる也。軍旅のこと就中賞罰の明なるを以て三軍の要とす。名将皆手柄功名のひはん(批判)に念を入れて、少しもくらからざるごとく戒あり。戦場は人の生死一大事のかかる處也。此所において功を立つる時、上くらくして其のせんさくひはん邪路なるときは、勇士皆軽薄を事とし、實儀を失ひて、遂には軍事やぶるべし。このゆゑに両国の賞罰孰れか明なると考ふる也。三略に云はく、賞罰必ず信なること天の如く地の如く、乃ち人を使ふ可しと、又云はく、軍は賞を以て表と為し、罰を以て裏と為す、賞罰明なることは則将の威行はると。以上是れを七計と云ふ。其の言相かはれりといへども、根本五事より出でたり。外に七計ありと云ふにあらず。然れば五事をよく工夫せしむるときは、七計おのづから備はる也。主将・士卒・兵衆は其の人にかかる。天地は天の時地の利也。法令賞罰は兵を用ふるの用法也。主は道に志を厚くし、将は材を逞しうして、能く事機に應ずるが如くならしめ、士卒は常にこれが耳目手足をねりて、其の心を一ならしめ、兵具器械は其の制作に念を入れ、其の事を心得たらん輩をあつめてこれをなさしめ、人馬は遠きにこたへ寒暑にいたまず、重きをになひけはしきをあゆみて疲労せざるがごとくならしめ、其の上に法を定めて曲制・官道・主用をととのへ、下知法度を立て人の心を定め、賞罰を明にして邪曲をただし、下の情を通ぜしめ、而る後に材能五徳あらん大将を命じてこれをひきゐしむるときは、兵法かくる所あらざる也。
○孫子国字解:賞みだりなれば、費多けれども士卒恩と思はず、罰みだりなれば、殺せども士卒恐れず、故に功あれば、意趣ある人をも賞し、罪あれば、親子にても赦さず、かやうなるを賞罰明かなりと云。敵と味方とは、何れか賞罰明かなりと、たくらべはかることを、本文にかく云へり。右の七計の内、兵衆孰強と云より、末の三は皆法のよく立たる上のことを、又委細に學たるものにて、七計を五事に合せ見れば、末の四は皆五事の内の法なり。五事の内にては、法と云もの尤肝要なることゆへ、孫子が念を入れて、細かに分けて云たる也。諸葛孔明も、名ある将の備にても、法なき軍は破りやすし。名なき将の備なりとても、法ある備は破り難しと云へり。
○杜佑:善に賞し、悪に罰す。知るや誰か分けて明なるぞ。故に王子曰く、賞度ること無くば則費して恩無し、罰度ること無くば則戮して威無し、と。
○杜牧:賞して僭[分を越える。下の者が身分不相応に上の者をまねる。おかす。]らず、刑して濫れず。[①水があふれ出る。②度が過ぎる。みだれる。みだりに。むやみに。【解字】形声。「水」+音符「監」(=中にとじこめるわく)。水がわくを越えて外へはみ出す意。]
○梅堯臣:有功を賞し、有罪を罰す。
○王晳:孰れか能く賞して必ず功に當て、罰して必ず情に稱す。[情に称す-その事態の様子に釣合わせる。]
○張預:賞を當てるとは、仇怨むと雖も必ず録すなり。罰を當てるとは父子と雖も舍かざる[舍-すておく。]なり。又司馬法に曰く、賞は時を逾えず、罰は列を遷さずば、誰に於いて明と為さん、と。
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○金谷孫子:賞罰はどちらが公明に行なわれているかということで、
○浅野孫子:賞罰はどちらが明確に実施されているか、といったことである。
○町田孫子:賞罰はどちらが公正に行なわれているか、の七つである。
○天野孫子:いずれがよりよく賞罰を明らかにして行なわれていようか。その優劣の数をそれぞれ計算する。
○フランシス・ワン孫子:そして、何れの方がより公正な賞罰を行っているか。
○大橋孫子:賞罰はどちらが厳正公明に行われているか、の七点を検討すれば、
○武岡孫子:賞罰はどちらの軍隊が厳正公明に行なわれているか。
○著者不明孫子:賞罰はどちらが厳正であるか-の七項目で、
○学習研究社孫子:賞罰は、どちらのほうが公明正大に行われているか」
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