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孫子研究ブログです。孫子兵法は別名『孫子兵経』、『SUNTZU』、『The Art of WAR』ともよばれています。ナポレオンや毛沢東も愛読していました。注釈者には曹操、杜牧、山鹿素行、荻生徂徠、新井白石、吉田松陰、等の有名人も多いです。とにかく深いです。

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2012-06-04 (月) | 編集 |
孫子 兵法 大研究!

本文注釈:孫子 兵法 大研究!

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『乱にして之れを取り、』:本文注釈

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この句は、前句の「利にして之を誘い」とセットで解釈される場合と、この句のみの、単独で解釈される場合の二パターンがある。また、諸注をみてもわかるように、「乱れる」のは自分側、または相手側のこれもまた二パターンの解釈がある。また、「之」の解釈も「敵」とするものや「勝ち」または、「貨」と解釈する注釈者もいる。これは、「孫子」の本文の中に同じような意味の文(そう解釈され得る文も含む)が各々存在するためである。また「利にして之を誘い、乱にして之を取る」の文の前は「能なるも之に不能を示し、用なるも之に不用を示す」、「近くとも之に遠きを示し、遠くとも之に近きを示す」と二つの文がつながって形成されており、この文も同じように「利にして之を誘い、乱にして之を取る」とセットで解釈すべきだという注釈者も多い。しかし、この文単独でも十分「詭道」を表わしている文として有効なものであるため、単独での解釈をとる注釈者も少なくない。セットで解釈する場合は、「敵を誘い込んだ結果、利につられて隊がバラバラになったところを我が軍が撃つ」となり、この利で誘い込む策を適用する敵軍の状態として理想なのは、たとえば士気が高く、攻撃精神旺盛の者や、金銭を欲する者が多い場合であろう。このように敵の状態如何によって「詭道」の策も変化するものである(「呉子」に若干詳しい。)。
「乱」とは『左伝』に「兵(いくさ)外に作(おこ)るを寇(こう)となし、内に作るを乱となす」とあり、内乱のことをさす。この本文では、敵か味方かいずれかの軍の内側が乱れている(または、わざと乱れたふりをしている)ことを指している。

乱-①みだれる。㋐もつれる。秩序なく、いりまじる。㋑世の中のみだれ。②おさめる。とりまとめる。古代中国の音楽や韻文の末章を「乱」というのはこの意。「濫」に通じ、「みだりに」「むやみに」の意に用いる。【解字】会意。「亂」の左半部は、みだれた糸巻きの上下から両手(「爫」と「又」)を添えた形。「乚」(=上から押さえる)を加えて、糸のもつれをととのえなおす意。②が原義だが、逆の意味に転じて、みだれる意。「乱」はその略字。

取-手ににぎる。自分のものにする。えらびとる。【解字】もと、又部6画。会意。「耳」+「又」(=手)。獲物の耳を手でつかむ意。



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○天野孫子:敵を混乱させてたやすく敵から何かを奪い取る。何を奪い取るかは、その場合によって異なる。一説に「乱」をわれを乱れたるごとくいつわるとして、張預は「詐りて紛乱を為し、誘ひて之を取る」と。この場合「乱」と「取之」との間に飛躍がある。この解について『国字解』は「手前を乱して敵をかからせ是を打ち取ると云ふ説あり。是は上の利而誘之と云ふ意なり」と。また一説に「乱れて之を取る」と読み、杜牧は「敵、昏乱あれば、以て乗じて之を取る可し」と。敵の乱れに乗ずるは当然のことであって、ここには詭道がない。『略解』は「乱而取之は敵をみだして取るの義。一説に我を乱す事とす、又或は其国固より乱るる事とするは共に非なり」と。

○守屋孫子:混乱させて突き崩す。

○田所孫子:乱而取之とは、相手国の準備態勢を攪乱して、それにつけ入ること。

○重沢孫子:我が部隊内に紛乱があるように宣伝し、敵を油断させて敵陣を破り、物資を奪い取る。

○フランシス・ワン孫子:一、「乱して之を取る」 李筌が、「敵、利を貪れば必ず乱る」と註せる如く、一般には、本句は前句と併せて読まれ、「利して誘う」ことによって泯乱(びんらん)(乱脈)に陥った敵、若しくは軽率の行動に出た敵を攻取するの意と解されている。反戦工作・分裂工作・内乱の煽動・同盟国(友好国)の離間工作等の如きは、すべて、その関係者を「利して誘う」ことを以て出発点とするものである。 
 以上に対し、「乱して之を取る」は前句とは別の独立句とする者も多い。この場合は二通りの解釈がある。その一つは、敵を混乱に陥れて攻取するの意とすることは同じであるが、「乱する」手段は、暗殺から敵の指揮中枢を破壊するまでの強行手段も含むとするものである。他の一つは、仏訳の如き解釈である。この場合は、「乱する」のは敵ではなく我が方である。即ち、我が方が混乱した状況を故意に作為し、それによって釣り出された敵を攻取せよ、の意となる。張豫は「詐(いつわ)りて紛乱せるを為し、誘いて之を取る」と註している。これも、「利して誘う」一手段であるが、敵の不用意な攻撃或いは行動を誘引するには頗る有効であり、現代でも、ゲリラや進退の敏速な機甲部隊が用いて、屢々(しばしば)成功をおさめている。
 なお、この我が方が混乱した有様を示す方略は、敵の真意を探り或いは暴露せしむるものとしても有効であり、政・戦略場面から戦術・戦闘に至る各種の段階に於て、広く用いられている。

○諺義:彼れと我れと相對するとき、彼れ備なくしてみだれば、乃ちすすんでこれを打つべし。亂と云ふは、兵士騒動し行列正しからず、陣(底本は陳に作る。陳陣通じて用ひ、底本には各處に兩用しあるも、今明かに素行の文と思はるるものは陣の字に統一せり)勢整はざるを云へり。亂に虚實あり、彼れわざと引きかけんためにみだるることあり。ここは眞の亂を云ふ也。或は陣中に火事出來し、又は馬をとりはなし、或はうらぎりのもの出來、或は何事となく陣中さわぎ立つことあるもの也。その圖をのがさず之れを取る可き也。取ると云ふは、心安くせめとるを取ると云へり。或は云ふ、つねづね其の作法をきいてみだりならんをばおそうてこれをとるべき也。張預云はく、春秋の法、凡そ取ると書ける者は易きを言ふ也。魯師[寺阝](じ)を取る、是れ也。或ひと云はく、敵利を貪れば必ず亂ると也と。是れ利して之れを誘くの句と、連續して見る也。李筌は之れに從ふ。問對亦此れ二句を以て一串と為す。

○李筌:敵利を貪れば必ず乱るなり。秦王姚興禿髪[イ辱]檀を征く。悉く部内牛羊驅ける。野に散放し、秦人縦にし虜掠める。秦人利を得る。既に行列無し。[イ辱]檀の陰十将に分つ。掩(おお)いて之を撃つ。秦人大敗す。首を斬るは七千餘級。亂にして之を取るの義なり。

○杜牧:敵、昏亂あれば、以て乗じて之を取る可し。傳に曰く、弱きを兼ね昧(くら)きを攻める。亂れを取り亡ぶを侮(あなど)る。武之れ善く經するなり。

○賈林:我れ姦智をして之れを亂れ令む。亂れ候いて之れを取るなり。

○梅堯臣:彼れ亂るれば則乗じて之れを取る。

○王晳:亂とは節制無しと為す。取るとは易しを言うなり。

○張預:詐りて紛亂を為し、誘いて之れを取る。呉越相攻め、呉罪人三千を以て、整わざるを示して越を誘う。罪人或は奔り或は止まる。越人之れに争う。呉為し敗るる所の若し是れなり。敵亂れて後取るを言う者は之れなり。春秋の法、凡そ取ると書ける者は易きを言ふ也。魯師[寺阝](じ)を取る、是れ也。


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○金谷孫子:[敵が]混乱しているときはそれを奪い取り、

○浅野孫子:敵が混乱しているときは、その隙を衝いて攻撃しては敵軍の戦力を奪い取り、

○町田孫子:混乱しているものは一気に奪い取り、

○天野孫子:敵を混乱させて敵から奪い取ったり、

○フランシス・ワン孫子:混乱した様(さま)を示して之を撃て。

○大橋孫子:敵を混乱させて勝ちをとり、

○武岡孫子:敵を混乱させておいて攻める。

○著者不明孫子:相手が乱れていればつけ込んで奪い取り、

○学習研究社孫子:敵が乱れている時は、機を移さずに攻撃する。

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