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孫子研究ブログです。孫子兵法は別名『孫子兵経』、『SUNTZU』、『The Art of WAR』ともよばれています。ナポレオンや毛沢東も愛読していました。注釈者には曹操、杜牧、山鹿素行、荻生徂徠、新井白石、吉田松陰、等の有名人も多いです。とにかく深いです。

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2012-06-08 (金) | 編集 |
孫子 兵法 大研究!

本文注釈:孫子 兵法 大研究!

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『実にして之れに備え、』:本文注釈

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この文の解釈にも諸説ある。
 ①我軍を充実させて敵に備えて
 ②我軍を充実させて敵に備えさせて(備わしむ)
 ③敵に我軍が充実していると思わせて(本当は充実していないのだが)敵に備えさせ(備わしむ) 
 ④敵軍が充実していれば我軍が敵軍に備え 
などが解釈として主要なものである。この句の後に続くものが「強にして之れを避く」であり、この「実にして之れに備え、」の句と連続して解釈する方法と、この句単独で解釈する方法と二種類ある。

実-①中身がいっぱいある。十分にみちる。いっぱいにみたす。②内容。中身。③草木のみ(がみのる)。④まこと。まごころ。心がこもっていていつわりがない。⑤ほんとう。ありのまま。㋐血がつながっている。㋑まことに。非常に。げに。【解字】形声。「宀」(=やね)+音符「周」(=いっぱい)の変形+「貝」(=財貨)。家の中を財貨でみたす意。

備-①前もって用意する。そなえる。そなえ。②不足なくそろっている。そなわる。③つぶさに。ことごとく。④「吉備国」の略。【解字】形声。右半部は音符で、矢をそろえて入れたえびらの象形。「人」を加えて、事故にそなえて用意しておく控えの人の意。



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○天野孫子:実而備之-われの兵力など充実しているが、充実していないようにみせて敵に備える。『正義』(関重秀『七書正義』)は「吾虚に非ずして猶、益々之に備へて、敵を詭るに弱虚を以てす」と。これは「能而示之不能、用而示之不用」と同意。次の句もこれと同意。一説に「実にして之を備へしむ」と読んで、味方の兵力など充実していない(虚)のに、充実しているようにして敵に備えをなさしめると。『直解』は鄭友賢の説を引いて「能而之不能より下の十四句に至るまで、俱に是れ詭道なり。但、実而備之の句、解するに彼の軍既に実ならば、我当に預め備ふべきを以てす。強而避之の句、解するに彼の勢若し強ならば、我当に引きて避くべきを以てす。然るが如きは則ち是れ正道にして詭道に非ず。当に解して、我軍本虚なり、反りて詭くに実を以てして、之(彼)をして備へしめ、我勢本弱なり、反りて詭くに強を以てして、之をして避けしむと作すべし」と。これに対し「実ならば之に備ふ」と読んで敵の実に備えるこそ詭道であると。『諺義』は「案ずるに鄭友賢の説未だ審かならず。実ならば之に備へ、強ならば之を避くは、則ち是れ詭道なり。実なりとも強なりとも義のうつべきあらんには、かかりてこれと戦ひこれをうつは正道に似たりといへども、力を量らずしてはたらく時は必敗の道なり。この故に或は備へて其の位を見、或は当座の鋭気を避けて、これを逃れ、終りにこれをうつは皆詭道なり」と。敵が実の時、これを味方が攻撃しないのを詭道と言えようか。またそれを詭道と関係させるために、本文にない「終りにこれを撃つ」を取り出すのは恣意的である。『国字解』も「詭道と云ふは強ちにいつはりだますことばかりに非ず。千変万化して、敵にはからせぬことを云ふなれば、正道の戦も、千変万化の一つなり。或は正道を用ひ或は表裡を用ひるこそ、真の詭道なれ」と。実際の戦闘行為についてはなにが詭道かは見分けがたいが、しかしここでは詭道を理論的に説くものであるから、他者の受けとり方を考慮外にして、論者は詭道を詭道として論じていると解さなければならない。『国字解』は実際と理論とを混同している。

○フランシス・ワン孫子:一、「実にして之に備う」  「実なれば、而(すなわ)ち之に備う」とも読む。何れにせよ、「実に対しては之に備う」の意である。曹操は「敵、洽(あまね)く実すれば、須らく之に備うべし」と註し、梅堯臣は「彼れ実なれば則ち備えざる可からざるなり」と註する。「実」とは「虚」に対する言であり、敵国或いは敵軍の軍事力・兵勢ともに充実して乗ずべき虚隙なき場合を言う。張豫は「敵人の兵勢、既に実なれば、即ち我は当(まさ)に勝つ可からざるの計(形篇)を為して以て之を待つべく、軽挙すること勿れとなり」と註している。諺にも「待つことを知るは成功の秘訣」とあるが、要するに待つことも詭道の一つである。

○大橋孫子:実にして之に備え-敵の戦力が充実していたら、一歩退いてこれに備える

○武岡孫子:実なるもこれに備え-敵の戦力よりこちらが充実しているのに、わざとかなわんという態勢をする

○守屋孫子:充実している敵には退いて備えを固め、

○田所孫子:実而備之とは、相手国の軍備が充実しているときには、こちらも十分備えていて動かないこと。

○重沢孫子:我が部隊の充実ぶりを誇大宣伝することによって、敵に必要以上の防備をさせ、その戦力を消耗させる。

○著者不明孫子:【實】 敵軍の戦力が充実している。

○孫子諺義:實と云ふは、彼れが兵勢實にしてみだれざる也。或は彼れ大軍なるか堅城を守るか、小勢なりといへども地形をかたどるか、いづれに(か)實なる處あつて之れを打つ可きの虚なきときは、我れ備設けてかたくいたし之れを守る可し。その内に彼れが虚の出來るをまちて之れを打つ可き也。實なる敵を急にうたんとせば必ず利あるべからず。備と云ふは、豫じめ辨ずる也と註す。あらかじめ謀(はかりごと)を設くること也。周の單穆公(周代の邑の名、周の成王の少子を封じ邑名を姓とす)云はく、備未だ至らずして之れを設くる有るなりと。楚の遠啓彊(春秋時代楚の大夫、春秋昭公五年に出づ)云はく、苟(いやしく)も備有らば何の故にか不可ならんと。呉の蹶由(春秋時代、呉王餘昧の弟なり、この句春秋昭公五年に出づ)云はく、難易に備有らば吉と謂ふ可しと。范蠡(春秋時代、越王勾踐に仕ふ、深謀二十年遂に呉を滅す)審に備ふれば則以て戦ふ可しと云ふ、皆古來備を重んずる也。楚の倚相(春秋時代、楚の史官)謂ふ、呉人甲輯(あつ)め兵聚まる、之れに備ふるに如かずと云ふ、これ實なるときは之れに備ふる也。

○孫子国字解:『實にして之に備へ、強くして之を避け』 實するとはみちたることなり。敵の備法制整りて、すきまなく油断なく、打つべき圖の見えぬことなり。かやうなる敵ならば、味方も備を設けて、時の變を待べしとなり。備を設るとは、敵の討んとばかり思はず、味方にうたるべき虚のなき様に、油断なく守りて、變を待ことなり。強と云は勢ひの強きことなり。或は猛将の勝ちに乗りたる勢、或は勇将の會稽の恥を雪んとする勢、或は陣を列する上にても、将勇猛にして、兵馬精けたる備をば、是をよけさけて鋒を爭はず、其勢のぬけたる圖を打べしと云ことなり。一説に、此二句を、實してこれに備へ、強くしてこれを避くと讀む時は、詭道に非ず、正道なり。實してこれを備へしめ、強くしてこれを避けしめとよむべし。其意は、味方の備もと實せざるを實したる様に見せかけて、用もなき處まで敵に用心させ、敵にちぢみを付けて、聊爾(れうじ(りょうじ))[①かりそめなこと。思慮が足りないこと。②粗相。失礼。粗忽(そこつ。)]にかからせぬ様にし、味方の勢弱けれども、強き様にもてなして、敵によけさする様にする、是詭道なりと云説あり。尤面白き説なれども、前段に斷はる如く、詭道と云は、強ちにいつはりだますことばかりに非ず。千變萬化して、敵にはからせぬことを云なれば、正道の戦も、千變萬化の一つなり。或は正道を用ひ、或は表裡を用るこそ、眞の詭道なれ。然れば古來の説の如く、實してこれに備へ、強くしてこれを避くとよみて、なるほど孫子が本意に違ふべからず。

○曹公:敵の治實なれば、須らく之に備うべし。

○李筌:敵の實に備う。蜀将關羽魏の樊城を圍まんと欲し、呉将呂蒙其の後を襲うことを懼るれば、乃ち多くの備うる兵留まりて荊州を守らんとす。蒙 其の旨を知る。遂に之を詐るに疾きを以てす。羽 乃ち其の備うる兵を撤去す。遂に蒙 取る所を為す。而して荊州呉に没す。則其の義なり。

○杜牧:對壘[戦場で、敵に対して陣をしくこと。敵と相対すること。]相持つ。虚実を論ぜず。常に須らく備えを為すべし。此の言の居くところ常に事無し。鄰(となり)に封じ境を接して、敵若し政を修め實を治めれば、上下相愛す。賞罰明らかに信なりて、士卒精錬なれば即ち須らく之に備うべし。兵交を待ちて然る後備えを為さず。

○陳皡:敵若し動かず、完(まった)く實にして謹んで備うれば、則我れ亦自ずから實を以て敵に備うなり。

○梅堯臣:彼れ實なれば則備わざる可からず。

○王晳:彼れ将に以て吾の不備を撃つ有らんとす。

○何氏:彼の敵但(ただ)其の實を見るに未だ其の虚の形を見ざれば、則當に力を蓄えて之に備うべし。

○張預:經に曰く、之に角れて有餘不足の處を知る。有餘は則實なり。不足は則虚なり。言うこころは敵人の兵勢、既ち実なれば、則ち我は當に勝つ可からざるの計を為して以て之を待つべく、軽挙すること勿れとなり。李靖軍鏡に曰く、其の虚を觀れば則ち進み、其の實を見れば則ち止まる。


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○金谷孫子:[敵が]充実しているときはそれに防備し、

○浅野孫子:敵の戦力が充実しているときは、敵の攻撃に対して防備を固め、

○町田孫子:充実しているものにはこちらも備え、

○天野孫子:味方が充実しておりながら充実していないように敵に備えたり、

○フランシス・ワン孫子:敵が戦力を集中させた時は対戦の準備をなせ。

○大橋孫子:味方の戦力が充実しているのに慎重策をとり、

○武岡孫子:味方が万全の態勢でいるのにスキだらけの様子をしてみせる。

○著者不明孫子:充実していれば守備を固め、

○学習研究社孫子:敵が充実している時は、それに備えることを心がける。

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