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孫子研究ブログです。孫子兵法は別名『孫子兵経』、『SUNTZU』、『The Art of WAR』ともよばれています。ナポレオンや毛沢東も愛読していました。注釈者には曹操、杜牧、山鹿素行、荻生徂徠、新井白石、吉田松陰、等の有名人も多いです。とにかく深いです。

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2012-06-18 (月) | 編集 |
孫子 兵法 大研究!

本文注釈:孫子 兵法 大研究!

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『卑にして之れを驕らせ、』:本文注釈

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 「卑にして之を驕らせ~親にして之を離す」までの文は「竹簡孫子」には存在しない。「竹簡孫子」をみてみると、「怒にして之を撓め」の句の後に、「其の無備を攻め」と続いているようである。このことからも「卑にして」~以下の文は後世に作られた文であることがわかる。孫氏学派(「孫子」の子孫や弟子たち)はそれまでの孫武の残したものや、歴史上、これまでの戦において有効であったと思われるものをピックアップし、「孫子」にふさわしいと思うものを付け足していったのであろう。

 この文は、自分から遜(へりくだ)ることで、相手を驕り高ぶらせ、油断させることを説いている。この文の解釈にも諸説ある。
 ①卑屈な態度を相手に示し、相手を驕らせる。
 ②相手がへりくだった態度をとっている場合、相手を驕らせる。
 などがある。
 詐術としてふさわしいのは①の方であろう。 この文を、戦場において活用する場合は、相手に自分が戦いの素人であることを示すことや、自軍が相手軍より不利な状況にあると思わせることが有効であろう。たとえば、隊形を乱し、退却を重ねればそれだけで相手はこちらを侮るであろうし、いざ決戦の地へ相手を誘った時には、相手は最早こちらの軍を見縊(みくび)っており、油断しているはずである。そこを神速・無形・衆をもって寡を撃つ・気勢・地勢・因勢[平田昌司「孫子」:『淮南子』兵略訓は、気勢・地勢・因勢の”三勢”について、こう説明する。 将軍が勇気にあふれて敵をのんでかかり、兵士は果敢で自発的に戦う。三軍[全軍]の人びと、百万人の部隊が、目標をめざす気持ちは大空の雲まで上り、意気は突風のごとく、ときの声はいかずちのごとく、真剣さや集中力の強さで敵を威圧すること、これを気勢という。狭い道、渡し場、関所、そびえる山、世に知られた城-龍や蛇がとぐろを巻き、笠を伏せたかのような[山のつづく]地形、羊の腸のように曲がりくねった道、魚をとる簗(やな)のように[入れば]二度と出られない谷の入口、そこで一人が隘路を守っているだけで、千人[の敵]でさえも通ろうとはしないこと、これを地勢という。敵の肉体や精神の疲労、たるみ、混乱、飢え、渇き、凍え、暑気あたりに乗じて、倒れそうな者を突きころがし、立ち上がろうとする者をおしつぶす。これを因勢という。]などを用い万全の態勢で相手を撃破するというのである。しかしながら、もちろん五事・七計がきちんと為された上でのことでないと、相手に逆手にとられてしまいかねないので、人・地・天の要素は十分深慮しなければならない。また、外交においてこの文の内容を活用する場合は、こちらの態度をひくくして相手を必要以上に大げさにもちあげることで、相手を驕らせるのである。


卑-①身分・地位がひくい。取るに足らない。自分をへりくだっていう語としても用いる。②態度・心持ちが下品である。③ひくくする。他人または自分を、いやしめる。みくびる。【解字】会意。上半部は、ひらたい楕円形のしゃもじのような道具。下半部は、手に持つさま。うすべったい意。

驕-おごりたかぶる。ほしいままにする。わがまま。



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○天野孫子:卑而驕之- わざとへりくだって敵をおごりたかぶらせる。『国字解』は「智勇ともにすぐれたる人も慢心はあるものなれば、手前をひきさげて、殊の外にあがめ尊べば、必ず驕(おごり)生じて、油断するものなり」と。一説に「卑なれば之を驕らす」と読み、『約説』(何言の「孫子約説」)は「敵卑にして、之を驕大にす」と。

○フランシス・ワン孫子:たとえば敵が持重して動かざる場合等、故意に我が方が劣勢或いは戦意の低下せるが如き状勢を作為して驕慢の心を生ぜしめ、敵の失策を誘うのである。なお、「卑ければ、而(すなわ)ち之を驕らしむ」と読む者もいる。この場合は、敵が慎重である場合はの意となるが、大意を変えるものではない。

○田所孫子:卑而驕之とは、相手方が他を卑めて驕慢になりたがるような場合は、その逆手をつかって相手方を卑しめる言動を弄して、相手方をいよいよ驕慢にならしめるとの意。こちらが卑屈な態度に出て、相手方を驕慢ならしめるとの説もあるが、これは前後の文の語法から見てとらない。

○守屋孫子:低姿勢に出て油断をさそう。

○重沢孫子:敵に向かって故意に卑屈な態度を示すことによって、敵を思いあがらせる。

○武岡孫子:卑くして-へり下った恰好、敵を恐れている様子

○著者不明孫子:【卑而驕之】 「卑」は驕(音ケウ。傲慢)の反対。へりくだる、控えめでつけ上がらないこと。

○孫子諺義:「卑うして之れを驕らしめ」 我れへりくだり自ら卑うして、かれをうやまひ、かれが驕を出來せしむべき也。驕るときは必ず怠りあり、怠るときは必ず之れを敗る可き也。彼れ本より我れをいやしめば、我れ尚ほへりくだりて其の心を驕らしむべし。卑は辭を卑うし賂(まいない)を厚うし、或は我が怯弱を示す、皆卑也。杜佑は上句と連續して之れを見る、亦通ず。

○孫子国字解:「卑くすこと之を驕らし」 智勇ともにすぐれたる人も、慢心はあるものなれば、手前をひきさげて、殊の外にあがめ尊べば、必驕生じて、油斷するものなり。是を卑而驕之と云なり。卑くすとは、吾を卑くひきさげ、向ひを敬ひ尊ぶことなり。越王勾踐の、呉王夫差を敬ひ、唐の高祖の李密を敬ひ玉へるなど、皆敵の心を驕らせて、油斷させ、終にこれを退治せるなり。

○孫子評註:卑しくしてとは我れ卑しきを示すなり。

○杜佑:彼れ其れ國を擧げ師を興すに、怒りて進まんと欲すれば、則ち當に外に屈撓[くっ‐とう【屈撓】‥タウ かがみたわむこと。かがめたわめること。]を示し、以て其の志を高くすべし。惰歸を俟(ま)つ[あてにする。期待する。]に要にして之を撃つ。故に王子曰く、善く法を用いる者は、狸之れ鼠か、力之れ智かの如く、之れを示すに猶卑靜にして之れを下す。

○李筌:幣重[天子や客への贈り物。礼物。]して言うは甘し。其の志小ならず。後に趙の石勒 王の浚に臣を稱す。左右之を撃たんと欲す。浚曰く、石公來るに我れを奉ぜんと欲するのみ。敢えて撃たんと言う者は斬る。饗禮を設け以て之れを待つ。勒乃ち牛羊數萬頭を驅け、言いて上に禮を聲す。實を以て諸街巷に塡(うず)めるに、浚 兵をして發し得ざら使むれば、乃ち薊城(けいじょう)に入る。浚 廳(庁)に於いて擒にす。之れを斬りて燕に并(なら)ぶ。卑(くだ)りて之を驕らしむとは、則ち其の義なり。

○杜牧:秦の末匈奴冒頓[ぼくとつ‐ぜんう【冒頓単于】匈奴帝国の第2代の王。実質上の建国者。東胡・月氏を破り、漢に侵入、高祖の軍を破って、歳貢を約束させた。]初めて立つ。東胡強し。使いをして冒頓に謂い使めて曰く、頭曼時に千里の馬を得んと欲す。冒頓以て羣臣に問う。羣臣皆曰うに、千里の馬は國の寶なれば與えること勿れ。冒頓曰く、奈何(いかん)ぞ人と國を鄰にして、一馬を愛せんや。遂に之を與う。居ながら之の頃、東胡の使いをして來ら使め曰うに、願わくは単于一閼氏を得よ。冒頓羣臣に問う。皆怒りて曰うに、東胡無道なれば乃ち閼氏を求む。請う之れを撃たん。冒頓曰く、人と國を鄰にして、一女子を愛せんや。之を與う。居ながら之の頃、東胡復た曰く、匈奴棄地千里有り。吾之れ有せんと欲す。冒頓羣臣に問う。羣臣皆曰うに、之を與うも亦可なり。與えずも亦可なり。冒頓大いに怒りて曰く、地とは國の本なり。本を何ぞ與う可くや。諸與うを言う者は皆之れを斬る。冒頓馬に上り國中に令す。後者有るは斬る。東 東湖襲う。東湖 冒頓を輕んず。之れ備えを為さず。冒頓撃つに之を滅す。冒頓 遂に西は月氏を撃ち、南は樓煩白羊河南を并せ、北は燕・代を侵す。悉く復た秦 蒙恬をして奪う所を使て之れ匈奴の地を收むるなり。

○陳皡:欲する所必ず顧恡する所無し。子女以て其の心を惑わす。玉帛[ぎょく‐はく【玉帛】 ①玉ときぬ。②先秦時代に諸侯が朝覲(ちょうきん)・聘問(へいもん)の際に用いた礼物。]以て其の志を驕らす。范蠡・鄭武の謀なり。

○梅堯臣:示すに卑弱を以てし、以て其の心を驕らす。

○王晳:卑弱を示し以て之を驕らす。彼れ我虞れずして其の間を撃つ。

○張預:或は辭を卑くし賂を厚くし、或は師を羸[やせる。つかれる。よわる。よわい。](るい)し佯北[いつわりて逃げる]す。皆 其れをして驕怠せ令む所以なり。呉子齊を伐つ。越子衆を率いて朝す[朝す-諸侯が天子にお目にかかる。転じて、外国から天子の国に参る。]。王及びて列士皆賂有り。呉人皆喜ぶ。惟子胥懼れて曰く、是れ呉を豢(やしな)[①家畜を飼う。②利益で人をさそいこむ。]うなり。後に果たして越滅する所と為す。楚 庸を伐つ。七遇皆北(そむ)く[逃げる]。庸人曰く、楚 與(とも)に戦うに足らざるなり。遂に備え設けず。楚子乃ち二隊を為し、以て之を伐つ。遂に庸を滅す。皆其の義なり。


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○金谷孫子:[敵が]謙虚なときはそれを驕りたかぶらせ、

○町田孫子:謙虚なものは驕りたかぶらせ、

○天野孫子:味方がわざとへりくだって敵をおごらせたり、

○フランシス・ワン孫子:劣勢をよそおい、敵の驕りを助長せよ。

○大橋孫子:下手に出て敵を驕りたかぶらせて過失をおかさせ、

○武岡孫子:敵が恐ろしくてたまらないふりをして、敵がみくびるように装ってみせる。

○著者不明孫子:控えめであればつけ上がらせ、

○学習研究社孫子:敵が低姿勢の時は、敵が驕り高ぶるようにしむける。

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