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孫子研究ブログです。孫子兵法は別名『孫子兵経』、『SUNTZU』、『The Art of WAR』ともよばれています。ナポレオンや毛沢東も愛読していました。注釈者には曹操、杜牧、山鹿素行、荻生徂徠、新井白石、吉田松陰、等の有名人も多いです。とにかく深いです。

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2012-07-01 (日) | 編集 |
孫子 兵法 大研究!

本文注釈:孫子 兵法 大研究!

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『親にして之れを離す。』:本文注釈

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「親而離之」の解釈にも諸説あるが、有効と思われるのは以下の三説である。

 ①「親にして之れを離す」と読む場合、「相手(敵国)に近寄り関係を密にしておいてから、スパイを送り込み、相手の友好関係にある国同士のつきあいや君臣の仲を悪化させる」、となる。
 ②「親なるも之れを離せしむ」と読む場合、「こちらの君臣の仲や各諸侯との関係は良好であるが、敵国にはよくいっていないように見せかける」、となる。
 ③「親なれば之れを離す」と読む場合、「敵国の君臣の仲や各諸侯との関係が良好であれば、謀(計)を用いて(スパイを利用して)うまくいかなくする。

 ③は一般的には「離間の計」と呼ばれることで知られ、主に敵国の君臣の仲を裂くために、古くから使われてきた謀である。例をいくつか挙げると、敵国の有能な部下を排除するために、偽手紙を使い、敵国の有能な部下が敵と内通しているかのように敵国の君主に思わせたり、配下の将軍が不平不満を言っているといった噂話(流言)を広めることで君臣の仲を裂いたり、敵が窮地に陥った時に敵部将の地位の保証や本領安堵を約束することで敵部将を寝返らせたり等々、歴史においては様々な例がある。有名な例では、項羽と范増の仲を裂くために劉邦の部下の陳平が用いた離間の策がある。項羽が漢に使者を送ってきたとき、陳平が天子様を迎えるのと同じくらい豪勢に手厚くおもてなしをしたのだが、この後項羽の使者に向かって「この使者は范増様の使者ではなかったのか。」と言い、粗末なもてなしに変更した。このことで項羽の使者は范増と劉邦がつながっていることを確信し激怒しながら後に項羽に事の成り行きを伝えることになる。その後、項羽が范増を側近の座から引きずり下ろすことになるのは想像に難くない。
 この場合もそうであるが、敵国の君主を疑心暗鬼にさせるだけの要素が揃っていると、相手は謀にかかりやすいことが分かる。この場合、それがたとえ敵の謀とわかっていても、項羽が范増を警戒せざるを得ないような流れにもっていったのが、陳平のすごいところである。当時范増は項羽から尊敬の意味を込めて「吾が父」と呼ばれ、信頼も厚く、権力も相当なものであった。しかし項羽は人を心からは信用しない性格の人物と言われており、この時項羽は実力者の范増に寝返られては自分の身も危ういと考えたのであろう、ついに范増は左遷されることとなる。陳平はその項羽の性格を利用し見事君臣の仲を裂くことに成功する。
 「親而離之」は戦場においては、城攻めの際にもよく用いられた。敵の城中の武将の寝返り工作がそれにあたる。できるだけ自軍の兵を損じずに、相手の兵も自軍に吸収できることから、この戦略は常套手段であったと言えるだろう。相手が劣勢になればなるほど、この寝返り工作が功を奏したであろうことは想像に難くない。
 また、「遠交近攻策(遠国と交わって近国を攻める)」というのがあるが、これは中国でも日本でも国が乱立していた時代の戦策としては基本のものであった。敵国のこの外交政策を崩すことができれば、外交上敵国を孤立させることができ、隣国の軍が敵国の味方となる事態を心配することもなく、敵を攻略することができるようになる。 以上のことからもわかるように、この「親而離之」も敵の態勢を切り崩す上で非常に重要な謀であったことが確認できる。


親-①おや。父母。②みうち。みより。縁つづき。③身近に接する。㋐したしむ。仲よく交わる。したしい。㋑なれ近づく。④したしく。自分みずから。(天子が)みずからする。【解字】形声。音符+「見」。

離-①はなれる。遠ざかる。わかれる。はなす。②易の八卦はっかの一つ。【解字】形声。「隹」+音符「离」。


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○天野孫子:親而離之-敵国にくみする他国と、または敵の一方と親交して、敵国と他国、または敵同士の親しい間柄を離間させる。『兵法択』は「示すに親暱(しんぢつ)を以てして之を離間す」と。また一説に「親しむをば之を離す」と読んで、『国字解』は「親しむとは、君臣の間親しきをも、又鄰國の交りをへだて、孤立の勢として是を破ることなり」と。魏武帝を始め多くの注家は、敵国の君臣間を、または敵国と他国間を離すには間者によるとする。この句は他の句と異なって、戦闘上における詭道としてあるのではないところに問題がある。

○田所孫子:親而離之とは、相手方の有力者に親しみ、これを味方につけて相手方から離れさせ、孤立化させること。

○守屋孫子:団結している敵は離間をはかる。

○フランシス・ワン孫子:一、「親なれば之を離す」とも読むが、意味に変りはない。しからばいかにして離間せしむるか。曹操は「間を以て之を離す」と言い、杜牧は「厚利を啗(くら)わして之を離間す」と。何れを以てするにせよ、離間を策する対象は、内部的には、敵国の指導者相互(君主と将軍・政治家と軍人・政治家相互)、指導者と国民、国民相互、国民と軍隊、統帥部と軍隊、軍隊相互、将校と兵士等の如きであり、外部的には、敵の同盟国・友好国相互である。
 一、同盟国離間の最近の成功例としては、第二次大戦に於けるイタリーの脱落、また数次に及ぶ中近東戦争に於けるアラブ側諸国の分裂・脱落があげられよう。この場合、その工作のために米・英連合国或いはイスラエルが対象としたのは、決して単一ではなく、前記のすべてに亙るものであり、成功はその総合的結果としてもたらされたものであることを、我々は認識すべきである。ベトナム戦争に於ける米国の孤立化と国内分裂も、同様にベトナムと之を支援する側の総合的努力の結果であるが、この場合特に注目すべきは、マスコミ就中テレビを利用した世界的な世論工作の威力である。
 一、なお、本項は「親みて(親しくして)、之を離す」と読む者もいる。この場合は、離間せんとする対象の一方と親しくしてその団結・友和を破壊する、の意となる。前記ベトナム戦争に於て、ベトナム側が行った米国の指導層と国民・国民相互・軍隊と国民の間の離間工作の成功は、反政府的有力勢力就中マスコミと「親しくする」ことによってえられた好例である。実際、その効果は目を瞠(みは)らせるものがあったのであり、社会主義国がその謀略工作のため、今も、有りもせぬ金を撒き散らす所以である。而して、我が国民が、この種の離間工作に対しては、殆どナイーブとも言うべき無思慮・無防衛の状態にあること、また、政治家・財界の一部が、「利を以て誘えば」(杜佑)釣り上げが容易であること、というよりも利によって釣り上げられることを欲する者であることは、敵・味方の双方が認める所である。無論、この中にはマスコミ関係者も入っている。

○重沢孫子:敵に親しむ素振りをしながら、実は敵の内部に水をさす。

○大橋孫子:親しんで之を離す-敵の同盟国と友好をはかって敵より離す

○武岡孫子:親しければ而ちこれを離す-敵の同盟国や友好国と親しくして敵より離す

○著者不明孫子:【親而離之】「親」は敵軍の上下の間が親密であること。「離」は隔てる、離間する。

○孫子諺義:「親しきときは之れを離す、」  かれが謀臣良将の間相親しきときは、ひそかに間人をいれて、君臣の間にうたがひ出來(いできた)る如くなる手段をまうくる也。君臣の間ばかりにかぎらず、其の國の親しき與力の大将あらんには、此の手段を用ひて疑を生じ、たがひに救ふこと叶はざるごとくいたすなり。利亂實強怒卑佚親、此の分皆かれにかけてみ、誘取備避撓驕勞離は、我れにかかる言也。我がいたしやうにて、かれ皆あやまる、是れ詭道也。しかれば彼れ利をこのまば利をあたへてあざむき、かれみだれば之れを取る。かれ怒りをこのまばみだし、かれ人をいやしめば我れへりくだりて驕らしめ、彼れ佚を好まば之れを勞し、彼れ専ら親しむことを欲せば、はなるるごとくいたせとみても同意也。

○孫子国字解:「親しむをば之を離なし、」  親むとは、君臣の間したしきをも、又隣國と親しきをも云なり。皆てだてを以て、君臣の間をはなし、隣國の交りをへだて、孤立の勢として是を破ることなり。

○曹公:間を以て之を離す。

○杜佑:利を以て之を誘う。五間をして并び入り、辯士説を馳せ、彼君臣に親しくし、其の形勢を分離せ使む。秦 反間を遣わし、趙君を欺誑し、廉頗をして廢して、趙奢の子に任せ使む。卒長平の敗有るが若し。

○李筌:其の行い約するところを破る。其の君臣を間して、後攻めるなり。昔秦 趙を伐つ。秦 相して應侯 趙王に間して曰く、我れ惟だ趙 括を用いるを懼れるのみ。廉頗 與(くみ)し易きなり。趙王之然らば乃ち、括を用い頗に代えるは、秦 敗する所を為す。卒四十萬長平に坑すは則ち其の義なり。

○杜牧:言うこころは敵若し上下相親しければ、則ち當に厚利を以て啗わし、而して之を離間すべし。陳平漢王に言いて曰く、今項王骨鯁の臣、亜父・鍾離昧・龍且・周殷の屬(やから)に過ぎざれば、數人に過ぎず。大王誠に能く數萬斤金を用い其の君臣を間し、彼れ必ず内相を誅す。漢因りて兵を擧げるに而して之を攻むれば、楚滅ぶは必ずなり。漢王之然らば、黄金四萬斤を出し平に與える。之れ反間をして項王果たして亜父を疑い急撃し滎陽を下さざら使めて、漢王遁去す。

○陳皡:彼爵禄を恡すれば、此れ必ず之を捐てる。彼れ財貨を嗇しめば、此れ必ず之を輕んず。彼れ殺罰を好めば、此れ必ず之を緩む。其の上下相猜い因れば、離間の説行くところを得る。由余秦に歸る所以にして、英布漢を佐ける所以なり。

○梅堯臣:杜牧の註に同じ。

○王晳:敵相親しければ、則ち計謀を以て之を離間す。

○張預:或いは其の君臣に間し、或いは其の交援に間す。相離し貳つにして、然る後之れを圖ら使む。應侯趙を間して廉頗を退く。陳平 楚を間して范増を逐う。是れ君臣相離すなり。秦 晉相合し以て鄭を伐つ。燭の武 夜に出で秦伯を説いて曰く、今鄭得れば則ち晉に歸る。秦に益無しなり。如らずんば鄭を捨て以て東の道主と為らん。秦伯悟りて師を退く。是れ交援し相離すなり。


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○金谷孫子:[敵が]親しみあっているときはそれを分裂させる。

○町田孫子:団結しているものは分裂させる。

○天野孫子:敵国にくみする他国と、または敵の一方と親交して、敵国と他国、または敵同士を離間させたりする。

○フランシス・ワン孫子:団結した敵は、之を離間させよ。

○大橋孫子:敵の同盟国と親しくして、敵国と離間させる。

○武岡孫子:敵が同盟国とスクラムを組み、スキをみせないときは仲間割れをするよう離間策を行なって孤立させる。

○著者不明孫子:親密であれば離間し、

○学習研究社孫子:敵が和同して団結の固い時は、離間させる。

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