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孫子研究ブログです。孫子兵法は別名『孫子兵経』、『SUNTZU』、『The Art of WAR』ともよばれています。ナポレオンや毛沢東も愛読していました。注釈者には曹操、杜牧、山鹿素行、荻生徂徠、新井白石、吉田松陰、等の有名人も多いです。とにかく深いです。

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2012-07-16 (月) | 編集 |
孫子 兵法 大研究!

本文注釈:孫子 兵法 大研究!

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『此れ兵家の勝にして、先には伝う可からざるなり。』:本文注釈

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竹簡孫子においても「勝」の字は「勢」ではなく「勝」となっている。

「先には伝う可からざるなり」の解釈が何通りかある。
 ①五事七計が基本であり詭道は応用であるから、それを理解していない者には詭道を伝授することはできない。
 ②兵家の勝ち方とは臨機応変の奇策によるものであるから、あらかじめどのような方法で勝つかは人に話すことはできない。
 ③兵家の勝ち方とは、秘密のものであるから人に伝え洩らすことはできない。
 の三通りが主な解釈の仕方である。

兵家-へい‐か【兵家】 ①軍事にたずさわる人。武士。兵法家。②中国、春秋戦国時代の諸子百家の一つ。用兵・戦術などを論じた学派。孫子・呉子の類。

勝-①相手をまかす。かつ。②他の上に出る。㋐すぐれている。まさる。㋑地勢・風景がすぐれている。③もちこたえる。たえる。「勝」は「あげて」とも訓読する。ことごとくの意。【解字】もと、力部10画。形声。「力」+音符「朕」(=上にあげる)。力を入れて重さにたえ、物を持ち上げる意。

先-①位置的に、さき。進んでいく方向のいちばん前。②時間的に、さき。さきだつ。㋐今より前。以前。すぐ前。㋑それにさきだつ。さきんずる。③まず。まっさきに。【解字】会意。上半部は足のうら、下半部は人。人の足さきの意。

伝-①とりつぐ。つたえる。つたわる。②世間にひろめる。③語りつたえる。言いつたえ。一代記。④経書などの注釈。後人に教えつたえる意。⑤馬継ぎの施設。宿駅。⑥(つたえられてきた)例のやりかた・方法。【解字】形声。「人」+音符「專」(=転)。人から人へ回す意。



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○金谷孫子:兵家之勝-武内義雄『孫子考文』(以下『考文』という)にいう、古注から考えると「勝」の字は「勢」の字の誤りで、この「勢」は上文(第二段の末[勢とは利に因りて権を制するなり。])を承けたものである。字形が近いための誤写であろうと。

○町田孫子:(1)宋本には「勝」とある。武内義雄『孫子考文』にしたがって改めた。

○フランシス・ワン孫子:一、「此れ、兵家の勝(かち)」  以上が五事・七計とは別に、戦争の勝敗・帰趨を決するいま一つの要素である用兵(詭道)の要訣である、と言うのである。なお、「兵家の勝」は「兵家の勢」であるとする者もいる。この場合は、以上が軍事行動を支援するための形勢作為の要諦であり、いわゆる用兵(詭道)の要訣でもある、の意となる。十六項の「勢」との関係から言えば、この方が適切とも考えられるが、大意としては変らない。
 一、「先ず伝う可からざるなり」 一般には、仏訳の如く、用兵は五事・七計の如き常法によるものとは性質を異にし、「常法の外にあるもの」(曹操)、即ち状況即応の変法であるから、予(あらかじ)め、それはこうといった如く策定しておくことはできないものである、の意に解されている。しかし、曹操は次の如く註する。即ち『伝うるは猶(敵に)洩らすが如きなり。兵には常勢無く水には常形無し。敵に臨みての変化はまず伝う可からざるなり。故(かれ)(その理由は)、敵を料るは(将軍の)心に在り、機を察するは(将軍の)目に在ればなり」と。つまり、次の如く言うのである。軍事作戦の計画や用兵上の方略・構想を予め関係者特に政府関係者に伝達することは、たとえ厳な箝口(かんこう)令の如きものを布(し)こうとも、敵に洩らす(伝聞せしむる)ようなものである。元来、用兵というものは「詭道」を以て、本質とし、水が地形によって流れを変えるが如く、一定のパターンがなく、状況即応、「能く敵に因って変化して勝を取る」(虚実篇)ことを以て要訣とする。しかし、この臨機応変の用兵は、将軍の心眼に委任することによって可能となるものであり、機密が保持されてこそ生命を得るものである。従って、機密の保持のためには、それは、たとえ相手が君主であろうとも、事前に伝えることは許されぬ性質のものである、と。機密保持の面からみた解釈であるが、謀攻篇の「君の軍に患うる所以の者、三あり」につながり、戦場の用兵(戦場統制)に於ける政府と軍司令部の関係の基本にふれて、この方がより適切と言えよう。

○天野孫子:此兵家之勝-「此」は以上の戦術を受ける。「兵家」は兵法(戦術)に明るい人。この句は「此れ兵家の勝の法」の意。

○守屋孫子:これが勝利を収める秘訣である。これは、あらかじめこうだときめてかかることはできず、たえず臨機応変の運用を心がけなければならない。

○田所孫子:此兵家之勝、不可先伝也とは、これが戦争に勝つ方法であって、これ以上に如何にこれを妙用するかは、伝授することができないとの意。

○重沢孫子:こんなわけで、兵家必勝の計謀は、とても先走って軽々にお伝えできるものではありません。(それ故に相手が自分の作戦を評価したことを確認し、自分が呉国に留る決意を固めた後に、はじめて謀略に言及している。)

○大橋孫子:兵家の勝-兵法に明るい人が勝つ秘法  先に-正道を教える前に  伝う-詭道を教える

○武岡孫子:先に-ぎりぎりまで、また正道を教える前にとの説もある

○佐野孫子:◎此兵家之勝  以上が五事七計とは別に、戦争の勝敗・帰趨を決するいま一つの要素である用兵(詭道)の要訣である、と言うのである(F・ワン仏訳「孫子」)。
 ◎不可先伝也  「詭道」を本質とする用兵は、状況即応、臨機応変、自在に駆使すべきものであるから、あらかじめこうだと決めてかかれるものではない。

○著者不明孫子:【此兵家之勝…】「此」は「このように」の意。「兵家」は兵法者、戦争をする者。ここは儒家・道家などと並ぶ学派あるいは思想家集団としての兵家ではない。「先伝」は先立って人に告げる、予言する。

○孫子諺義:「此れ兵家の勝なり、先づ傳ふ可からざる也」 兵家とは兵法を談ずる家也。兵家者流と云ひて、孫子・呉子がたぐひ、皆兵法を以て時の諸侯の師となり、大将にそなはり、軍事を用ふる、是れを兵家者流と云ふ。云ふ心は、此の詭權の術は、兵家是れを用ひて變に應じ勝をとるの道也。是れ乃ち兵は詭道也と云ふ所也。先づ傳ふ可からずとは、兵法は正を敎へて奇を敎へざる也。五事七計を以て敎の正法とす。このゆゑに五事七計を常につとめて内をととのへをさむるの道とすべし。五事七計相ととのほりて後に勢權を用ひて變に應ずるのたすけとす。故に先づ傳ふ可からざる也。是れ孫子道を以て本とし、詭詐を以て末とするの心也。人心は危くして詭詐に落入りやすし。内五事七計のつとめは常法にしてめづらしからずと心得、權道を用ひてだて(手段)をなして、人の目をさまさしめんことを欲するは人の通情也。内を經(おさめ)ずして専ら權を弄するときは、つひには敗亡の道たり。このゆゑに權道の説を抑へて先づ傳ふ可からずと云へり。これを秘して先づ傳ふ可からずと云ふにはあらざる也。一説に先づ傳ふ可からずとは、傳は猶ほ洩らすがごとし、此の謀を外にもらすべからずと云ふの心也、はかりごともるるときは勝全からざるのゆゑなりと云へり。魏武帝之れに從ふ、講義の説も亦之れに同じ。しかれども此の一句勢權の條々を結せる言なるゆゑに、前説を以て味ありとす。ことに洩と言はずして傳と云へば、傳は敎示の心にして、将吾が計を聽くと云ふにあたりたる語意也。古來權道は中材の人用ふ能はずと云へり。是れ乃ち先づ傳ふ可からざる也。權道をあしく心得て用ふるときは、悉く詐偽に陥りて、道の實を失ふこと多し。五事七計においては、必勝必敗と必の字を入れて、結句とここには兵家の勝とのみいつて、必の字を用ひず、尤も其の心得あること也。五事七計は、本よりこれを勤むれば必勝あり、つとめざれば必敗也。勢權の奇道は是れ勝を取るの一術なれば、これを以て必勝と心得可からず。是れ又兵家の勝をなす術なりと云ふ心也。以上是れ迄を第二段とす。初段は内を調ふるの要法也。此の段は詭術を用ひて、外のたすけたらしむることを論ぜり。

○孫子国字解:これは上を結ぶ詞なり。兵家之勝とは、兵家軍に勝つの妙用と云ことなり。先傳と云ふ傳の字は、傳示傳泄と註して、云ひ述ることなり。此一段は、上の計利以聽、乃為之勢、以佐其外と云より、下の文を承けて、此二句にて結ぶなり。始計一篇の文勢、前に五事七計にて、戦はぬさきに勝負を知ることを云て、其次に其五事七計のつもりにて、勝利あるべきと目算せんに、主将も尤と聽入れ玉ひて、出陣に及ばば兵の勢と云ふことをなして、兼て定めたる手當ての助けとして、全き勝を取るべきなり。然れども、其兵の勢と云は、その兼て勝利あるべきと定めたる手あての上にちなんで、時に當て、千變萬化の妙用をなし出すことなり。其ゆへは、兵はもと詭道なるによりて、其仕形一定することなし。或は能しても能はざる様に見せかけ、用ることをも用ひぬ様に思はせ、遠國へ働くをば、近國と云ひ習はし、近國へ働くをば、遠國と云ひふらし、或は利欲を以て引出し、亂れぬ備をば、方便を以て是を亂し、實したる敵をば、油斷せずして時節を見、ほこさき強き敵をば、暫くさけて衰るを待ち、或は辱しめて怒らせ、或は敬ひて驕りをつけ、ゆたかなるをば疲らかし、或は一和するをばへだへだになし、畢竟は敵の備なき油斷の處をせめて、敵の思ひがけぬ處より計を出してこれを挫くこと、是兵家の軍に勝つ妙術なれども、皆軍に臨んで變に應ずる上のことなれば、今出陣の前戦はぬ先に、云ひ述ぶべきに非ず。それゆへに軍に先だちた勝負を知るは、五事七計を以て定むることなりと云意なり。この本文の傳と云を、傳授の意に見る説もあり。これにても通ずるなり。

○孫子評註:「此れ兵家の勝、先づ傳ふべからず。」(いじょうが兵家のいくさに勝つ妙術であるが、戦わぬ先に云い述べるべきではないの意。)  之勝(原文「兵家之勝」の之勝。)とは猶ほ勝つ所以と言ふがごとし。語勢少しく頓(とどま)る(修辞学の術語。抑揚頓挫の頓で、文勢を急に変えること。)。傳ふとは、曹操(三国時代、魏の武帝。『孫子』の注を作った。現存孫子注の最古のものである。)曰く、「猶ほ洩すがごとし」と。杜牧(唐の詩人。この注は『孫子十家注』に出ている。杜牧は十家の一人。)曰く、「言ふなり」と。皆之れ得たり(本文の意味をよくつかんでいる。)。深く此の字を味ひて、然る後益々「勢を為して外を佐(たす)くる」の活潑々地[かっぱつ‐はっち【活溌溌地】極めて勢いのよいさま。気力がみちみちて活動してやまぬさま。]たる所以を知る。而して文の撇開(へいかい)(撇は閉に同じ。)は夷(つね)の思ふ所に非ず(易の渙の卦六四の爻辞にある語。常人の考え及ぶ所ではないの意。)

○曹公:傳は猶お洩らすがごときなり。兵 常勢無く、水 常形無し。敵に臨みて變化す。先ず傳える可からず。故に曰く、敵を料るは心に在り、機を察するは目に在るなり。

○李筌:備え無きにして意(おも)わずとは、之を攻めれば必勝なり。此れ兵の要秘にして、傳えざるなり。

○杜牧:傳は言なり。此の言 上の陳(の)べる所なり。悉く兵を用い勝ちを取るの策とは、固より一定の制に非ざるなり。敵の形を見、始めて施くを為す可し。事を先にして言う可からざるなり。

○梅堯臣:敵に臨みて變に應じて宜しきを制するなり。豈に預め前に之れを言う可けんや。

○王晳:夫れ計を校べて兵を行る。是れ常法を為すなり。若し機に乗じて勝を決すれば則ち預め傳え述ぶる可からざるなり。

○張預:言うこころは上陳べる所の事とは、乃ち兵家の勝策、須らく敵に臨みて宜しきを制すべし。以て預め先ず傳え言う可からずとなり。


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○金谷孫子:これが軍学者のいう勢であって、[敵情に応じての処置であるから、]出陣前にはあらかじめ伝えることのできないものである。

○浅野孫子:これこそが兵法家の勝ち方であって、その時どきの敵情に応じて生み出す、臨機応変の勝利であるから、出征前に、こうして勝つと予告することはできないのである。

○町田孫子:これが兵法家のいう勢であって、敵情に応じて変化するものであるから、戦争前からあらかじめこうだと伝えることのできないものである。

○天野孫子:これが戦術に明るい人の勝を得る方法である。しかし、これは軍備論の後に伝授さるべきものである。

○フランシス・ワン孫子:以上は、用兵家にとって勝利の鍵をなすものである。これらのことは、何れも、出陣前に詮議立てする(策定する)ことのできないものである。

○大橋孫子:これが兵法家の勝ち方である。しかしこれは権すなわち応用であり、これを用うるには、その前に合理的手法すなわち原則をマスターすることが必要である。五事七計による正道を修得していない者に詭道を教えてはならない。

○武岡孫子:この勝ち方こそがプロの兵法家の勝ち方だが、このような計略はややもすれば敵に洩れやすいので、実行のぎりぎりまで部下にも教えてはならない。

○著者不明孫子:このようなわけで、武人がどのようにして勝つかは、人に予告することはできないのである。

○学習研究社孫子:これらのことは、兵法家が奇策によって勝利するということであり、あらかじめいうことのできる法則ではない。

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