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孫子研究ブログです。孫子兵法は別名『孫子兵経』、『SUNTZU』、『The Art of WAR』ともよばれています。ナポレオンや毛沢東も愛読していました。注釈者には曹操、杜牧、山鹿素行、荻生徂徠、新井白石、吉田松陰、等の有名人も多いです。とにかく深いです。

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2012-11-30 (金) | 編集 |
孫子 兵法 大研究!

本文注釈:孫子 兵法 大研究!

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『故に盡く用兵の害を知らざる者は、則ち盡く用兵の利を知ること能わざるなり。』:本文注釈

⇒意訳に移動する


この文は、利だけに頭がいっていたんでは害がその身に及ぶことを言っている。利と害の両面を考慮しなければならないということである。とかく、人間はうまい話には乗りやすい。常識を考えれば怪しいと分かるものも、目先の大きな利益の前には屈しやすいのである。

盡-①つくす。ありったけを出しきる。②つきる。すっかりなくなる。きわまる。③みそか。つごもり。④ことごとく。すべて。全部。【解字】形声。音符(=はけで清める)+「皿」。皿の残り物やよごれをはけで除去しつくす意。

害-①そこなう。悪い状態にする。傷つける。②わざわい。不利益。③攻めるのにさまたげとなる所。【解字】会意。上半部は、かぶせる意。下半部「古」は、あたま。頭をおさえて進行のじゃまをする意。





○天野孫子:○不尽知用兵之害 「尽知」は知り尽くす。すみずみまで先々まで知る。「用兵」は戦争を行なうこと。

○フランシス・ワン孫子:註
 一、本項は、「故に、用兵の害を知ることを尽くさざる者は、則ち、用兵の利を知ることを尽くす能わず」とも読まれている。
 一、ところで、この要望に応え得る人物はいるであろうか。古来各国の腐心する所である。このため、現在では、「先見の明ある国家では、万一の場合に備えて、共同研究を通じて、国家の戦争努力を指導する政治・行政・軍事の各エリートを養成せんとしている」(ドゴール)のである。無論、すべての人事がそうである如く、このこととて常に成功しているわけではない。むしろ失敗の方が多いというべきかも。しかも、各国の努力は真剣であり、国民もまた、そのような機関・制度の存在を当然としている。
 一、然るに、大戦後の我国では、反対に、有能な頭脳的中枢部の存在の必要に対する認識は失われ、その再建を怠ったまま今日に至っているのが実情である。言うまでもなく、その理由の一つには、アメリカの教うるシビリアン・コントロールの優越性を、格別の根拠がないにも拘らず、信仰として受け入れていることがある。しかし、シビリアン・コントロールの優越性・信頼性を普遍的なものとする所説が、一つの時代の産物に過ぎずいかに観念的なものであるかは、当のアメリカで、弁護士出身者と地方利益の代表者からなる政治家達が行っている政・戦略指導の実態と、それが、世界の混乱の因となるだけではなく、自国の衰運に拍車をかけるものとなっている有様を見れば明らかであろう。この担うべき責任と能力が一致し難い問題、つまり、国家の政・戦略指導のために最高の資質・能力(頭脳)を有する人物を登用し一つの組織として結集すべき問題の解決に於ても、我々は、もはや他国の物真似或いは僥倖に頼ることは許されず、独自の道を求めねばならぬ時を迎えつつあるのである。しかし、現在の我国には、このための本格的所論は現れず、あるのは、依然として反戦感情に基づく所論だけである。

○守屋孫子:それ故、戦争による損害を十分に認識しておかなければ、戦争から利益をひき出すことはできないのだ。

○田所孫子:○不尽知用兵之害者とは、戦争の害を知りつくさないものとの意。
 ○不能尽知用兵之利也とは、戦争の利を知りつくすことができぬとの意。

○重沢孫子:それ故に用兵の害を理解しつくしていなければ、用兵の利を徹底して理解することはできない。

○孫子諺義:『故に盡く兵を用ふるの害を知らざるときは、則ち盡く兵を用ふるの利を知ること能わざるなり。』
 兵を用ふるの害とは、十萬の兵日につひやす所、及び久しく師に及んで内外つひえる處、皆是れ兵を用ふるの害也。此の害を能く知るときは、害をさけて利につくの謀を用ふ。故に用兵の利を知る也。利と害と損と得と成と敗とは、表裏にして離れず。利をしらんとならば、其の害を詳にいたすにあるべき也。孫子始計の發端兵の大事を云ひ、この篇用兵内外のつひえを論ず、是れ悉く用兵の害をしらしめんがため也。凡そ上兵は利害相交交謀る、このゆゑによく害を考へて其の利を知る。下兵は我が利あることばかりを考へて、害をはからざるゆゑに、つまづいて敗亡をとる也。

○孫子国字解:『故に兵を用るの害を盡く知ざる者は、則兵を用の利を盡く知こと能わざるなり。』
 是又久戦の害を、上の文に云へるを承けて、利害の道理を説けり。用兵之害とは、軍をして害のあることを云へり。用兵之利とは、軍をして益のあることを云へり。盡知とは、入りくますみすみ迄のこる處なく、二重三重の先きまでをも知りつくすことなり。凡利害は付て離れぬものにて、天地の間に於て一切のこと、何事によらず、利あれば害あり、害あれば利あり、利ありて害なきことなく、害ありて利なきことなし。施子美が説に、蘇先生曰、其敗を見て後に其の成を見、其の害を見て後に其の利を見る。心閑かに無事、是以此の若く明也と云を引けり。まことに平心にて見る時は、上智の人ならずとも、利害明かに盡して、くらきことはあるまじけれども、總じて軍をすることは、或は貪欲の心より、國郡を取んとし、或は驕慢の心より、威權をふるはんとするゆへ起ることなれば、大形は軍をして利のあることをのみ思て、害のある處へは心づかず、是利に惑ふ所より、其心蔽ひ昧(くら)まされて、其害甚しけれども覺えぬなり。故に孫子上の文にも、軍に費多く害多く、殊に長陣の害甚しきことを、反覆丁寧に説て、ここに至て利害の道理を一言に説盡して云らく、かくある故に、軍を起して害のあることどもを、根葉を盡して知るべきなり。箇様に計を運らして、ここに勝利あり。ここに得ありて、何ほど明かに知たる様なりとも、それはまだ前方なることなり。小利に目を付けては、見るところ必明かならず。害のある所を、底を盡して知てこそ、利のある處をも、底を盡して知らるべけれ、害のある處を盡して知らざるものは、何としても利のある處を、底を盡して知ることはなるまじきとなり。

○孫子評註:『故に盡(ことごと)く用兵の害を知らざる者は、則ち盡く用兵の利を知る能はず。』
 害を知り利を知るの二句は、上を結び下を起す。立柱分應法(考え方をまとめて主題を確立し、それに応じて細部への論を進める立論展開の方法。)、是れなり。

○杜佑:言うこころは國を謀り軍を動かし師を行るに、先ず危亡の禍いを慮らざれば、則ち利を取るに足らざるなり。秦伯 鄭を襲い之の利を見る。崤函 之の敗を顧みず。呉王齊を伐つの功を矜しみて、姑蘇の禍いを忘るるなり。

○李筌:利害とは相依りて之生ずる所なり。先ず其の害を知らば、然る後其の利を知るなり。

○杜牧:之の害とは人を勞し財を費やすことなり。之の利とは敵を呑み境を拓くなり。苟も己の患を顧みなば、則ち舟中の人盡く敵國を為す。安くんぞ能く利を敵人に取らんや。

○賈林:将驕りて卒惰し、利を貪りて變を忘る。此の害最も甚だしきなり。

○梅堯臣:再び籍せず三載せずは利なり。百姓虚しくし公家費やすは、害なり。苟も害を知らざれば、又安くんぞ利を知らん。

○王晳:久しくして能く勝つとは、未だ害を免ぜざれば、速くして則ち利は斯れ盡きるなり。

○張預:先ず師を老し貨殫きるの害を知らば、然る後能く敵を擒にし勝を制するの利を知る。


意訳
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○金谷孫子:だから、戦争の損害を十分知りつくしていない者には、戦争の利益も十分知りつくすことはできないのである。

○浅野孫子:したがって、軍の運用に伴う損害を徹底的に知りつくしていない者には、軍の運用がもたらす利益を完全に知りつくすこともできないのである。

○町田孫子:だから戦争による損失を熟知しない者は、戦争のもたらす利益についても知悉[ち‐しつ【知悉】知りつくすこと。詳しく知ること。]することはできない。

○天野孫子:それゆえ、戦争についての有害をすべて知り尽さない者は、戦争についての有利をすべて知り尽すことはできない。

○フランシス・ワン孫子:それ故に、武力を行使すれば必ず生ずる前述の害(危険)を知らない者は、利益をもたらす戦争指導・用兵法も理解しえない者といえる。

○大橋孫子:ゆえに戦争を有利に指導しようと思う者は、まず、この戦争の害をよく知り、これを避けることを考えねばならない。

○武岡孫子:この戦争のマイナス面の理解なしに、有効な戦争指導などできるものではない。

○著者不明孫子:だから、戦争をすることの害を知り尽くさぬ者は、戦争をすることの利をも知り尽くすことができないのである。

○学習研究社孫子:だから、軍隊を動かす害を知りつくさない者は、軍隊を動かす利益を知りつくすことができない。

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