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孫子研究ブログです。孫子兵法は別名『孫子兵経』、『SUNTZU』、『The Art of WAR』ともよばれています。ナポレオンや毛沢東も愛読していました。注釈者には曹操、杜牧、山鹿素行、荻生徂徠、新井白石、吉田松陰、等の有名人も多いです。とにかく深いです。

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2012-12-24 (月) | 編集 |
孫子 兵法 大研究!

本文注釈:孫子 兵法 大研究!

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『善く兵を用うる者は、役は再びは籍せず、糧は三たびは載せず。』:本文注釈

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役- 一 ①ヤク 割りあてられた仕事・任務。つとめ。職分。②割り当てられた(特別の)はたらき。二、エキ 支配者が人民の労力を使う。働かせる。①人民に課された義務労働・租税。えだち。②いくさ。戦争。「慶長の役」「戦役」兵として役使される意から。【解字】会意。「彳」(=ゆく)+「殳」(=ほこを手に持つ)。武器を持って遠くへ行く意。転じて、苦しいつとめをする意。

再-二回。もう一度。ふたたび(する)。【解字】指事。「冉」は「冓」(=木を組みあげた形)の省略体。その上に「一」印を添え、同じ物がもう一つ加わる意を示す。

籍-①文書。書物。②人別・戸別・地別などを記した帳簿(への登録)。【解字】形声。「竹」+音符「耤」(=重ね合わせる)。竹簡を積み重ねたものの意。

載-①車や舟に積み込む。上にのせる。②書物や帳簿に書きとめる。③年。歳。【解字】形声。「車」+音符(=断ち切ってとめる)。荷物がずり落ちないよう車の上にしっかりとめる意。



用兵がうまい者は、兵役も食糧の運搬も最小限に抑えるということである。戦争をおこすとなると、最も注意しなければならないのが『遠征にかかる労費』である。遠くに軍事物資を運べば、戦力を消耗するなど、いろいろ大変なことが起きる。兵を徴発すれば民の蓄えもなくなる。ゆえに自国の備えはできるだけ損せずして、敵国の軍事物資を奪うことで軍をまかなうようにするのが理想である。





○金谷孫子:一 役は再びは…兵士は一度徴発して出陣すると、必ずそれで勝利をかちとって、補給はしない。 二 糧は三たびは…出陣のとき食糧を運び、凱戦[凱旋-がい‐せん【凱旋】(「凱」は戦勝に奏する楽。「旋」は帰る意)戦いに勝って帰ること。]のときにまた母国から運ぶ。前後の二回のほかは運搬しない。戦争中は敵地で食糧を取る。

○浅野孫子:●役-戦費調達のための臨時の軍事税。後文の丘役と同じ。
 ●籍-帳簿に名前を記載して割り当て、税を徴収すること。

○町田孫子:<役は再びは…>いちど徴発した兵員で勝をおさめて、追加補充はしないという意味。
 <糧は三たびは…>食糧は出陣のときと凱旋のときと、二回だけ自国から運ぶ。

○天野孫子:○役不再籍 「役」は民にわりあてる課役、ここでは兵役を言う。杜牧は「鄭司農の周礼註に曰く、役とは兵役を発するを謂ふ」と。鄭司農とは後漢の鄭玄。「籍」は戸籍。『詳解』は、「籍の字は諸解一ならず。宜しく籍書と釈すべし。…古は兵役を調し賦税を収むるに、皆名籍・戸籍に因りて之を調収す。故に調収を謂ひて直に籍と曰ふ」と。「不再籍」とは、地域毎に一定の徴兵数があって徴兵するが、ここでは更に追加して地域毎にわりあてて徴兵することをしないの意。この句について趙本学は「役とは丘甸の役なり。籍とは兵を召すの符籍なり。按ずるに、司馬法に、八家を井と為し、四井を邑と為し、四丘を甸と為す。甸は六十四井。五百十二家。民の数、概して中家を以て之を計れば、一家六人。五百十二家は千二百八十八人なり。七十二人を択び、司馬に籍し、以て征伐に備ふ、と。役に再籍せずとは、師を成して以て出で、一挙にして即ち勝つ。復(また)再び丘甸の役を籍して、以て師を済さざるを言ふ」と。一説に「籍」を借る意として陳皡は「籍とは借るなり。再び民を借りて役せざるなり」と。また一説に「籍」を賦(ふ)すと解して、魏武帝は「初め民を賦して便ち勝を取り、復(また)国に帰りて兵を発せざるなり」と。賦とはここでは朝廷がわりあてによって兵士を出させること。
 ○糧不三載 「載」はのせて運ぶ。この句は将兵と牛馬との食糧は三度も輸送しないの意。二度運ぶ食糧で戦争を終わらせることを言う。趙本学は「軍出づるときは、糧を載せて以て之を送る。国に帰るときは糧を載せて以て之を迎ふ」と。なお前句の「再」とこの句の「三」について一説に『略解』は「再・三の二字互文。しばしばと云ふ事なり。先輩再を両度、三を三度となすは非なり」と。

○守屋孫子:戦争指導にすぐれている君主は、壮丁の徴発や糧秣の輸送を二度三度と追加することはしない。
 ※役、再籍せず 役は兵役、再籍は二度にわたって徴用すること。名将は戦いを早期に終結させるので、二度徴用することはしないの意。
 ※糧、三載せず 載は車にのせて運ぶこと。軍糧を三回も戦場に運ぶことはしないの意。

○フランシス・ワン孫子:註 何れも、名将は再動員を必要とするような戦争は行わないことを言うのである。

○田所孫子:○役不再籍とは、人民を徴発して兵役に服せしめる、その徴発人民登録簿に二度とは登録しないとの意。
 ○糧不三載とは、兵糧を何回も車に載せて国から戦場へ運ぶことはしないとの意。

○大橋孫子:役、再び籍せず-再び兵役につかせない 糧三たび載せず-三度は、本国から糧秣を送らない

○武岡孫子:役は再び籍せず-再び兵役につかせない 糧は三たび載せず-三度は本国から糧食を送らない

○佐野孫子:◎役不再籍 「役」は民にわりあてる課役、ここでは兵役をいう。「籍」は戸籍、すなわち戸ごとに兵士を徴発することをいう。この句は、地域毎に一定の徴兵数があって一回は徴兵するが、更に追加して徴兵することをしないの意。
 ◎糧不三載 「載」はのせて運ぶこと。この句は将兵と牛馬との食料は三度も輸送しないの意で、二度運ぶ食料で戦争を終わらせることを言う。

○重沢孫子:用兵の上手なものは、人民を兵役に二度とは登録せず(徴用は一回だけ)、軍の食糧は二度[重沢孫子記載の原文には「役不再籍。糧不二載。」とある。]と車に積載しない(本国からの食糧の積出しは最初の一回かぎり)。

○著者不明孫子:【善用兵者】「者」は「人」を表すとはかぎらない。「物」でも「事」でも、「場所・時・場合・方法…」その他いかなる名詞の代わりにも用いられる。ここは「人」でも通じないことはないが、どうもしっくりしない点がある。以下「者」の字はたくさん出てくるが、その場に応じて何を表しているかを読み取る必要がある。
 【不再籍】「籍」はここで兵籍簿・徴兵簿。また、その名簿に登録し、兵士として徴集すること。「再籍」は兵役に服する者の登録・徴集を二度繰り返して行うこと。同じ人を再度徴集する意に解することもできる。
 【不三載】最初に食糧を車に積んで出陣するのが一回、勝って凱旋するときに食糧を積んで出迎えるのが一回、その間戦争中は下文にあるとおり食料は敵地で調達するから、食料を車に載せて出かけるのは前記二回だけで三回は載せないと解するのが曹操以下の通説のようであるが、「三」の数にとらわれすぎた解釈と思われる。「三」は必ずしも三回とはかぎらず、「何回も」の意であろう。戦争開始の際に食糧を積んで出陣して、そのあとは何度も(端的にいえば「一回も」)自国から食糧を輸送しないとの意。ここも「不再載」でもよいのだが、上の「再籍」に対して語を替えて「三載」としたもの。

○孫子諺義:『善く兵を用ふる者は、役再び籍(しる)さず、糧三たび載(の)せず、』
 是れは速にして久しくす可からずの引證をいへる也。役は民間より出す課役也、田畠の多少について役の品あり。籍は書籍也、民間の役をかきつけしるすを云ひ、又籍符と注す、同義也。李筌・杜牧・直解之れに從ふ、又借也と注す。民を籍(か)りて兵とするのこと也。陳皡の説及び講義之れに從ふ、乃ち農兵の心也、民を用ひて兵とする也。又擧也、魏武注には賦也と注す。いづれも民に役を云ひつくるを籍と云ふ也。云ふ心は民の課役一度にて埒をあけ、粮食の運送を三度までは、もちはこばざるごとくいたす。是れ速にして久しからざるの證據に兵を善くする者のいたしやうを云へる也。三載とは始め糧を持參し、其のあとよりおくり、後に又粮をむかふる、是れ隨糧・繼糧・迎糧の三度也。李卓吾の注は是れ也。魏武の注にも、始め糧を載せ、後食に敵に因り、兵を還して國に入り、復た糧を以て之れを迎へざる也。杜佑の通典注には、舟・車・人力の運送を三載と云へるなり。案ずるに、役は人力也、糧は兵食也。人力を用ふること二度に及ぶときは、國中大につかれて人民必ず離散すべし。ゆゑに再びせざる也。糧は始中終の三度也、始と、なかごろと、をさまりと、三度おくるは常法也。速なるがゆゑに、或は一度或は二度にて三度までに及ばずと見る可き也。いづれも速にして久しからざるの意也。

○孫子国字解:『善く兵を用る者は、役再たび籍せず、糧三たび載せず、用を國に取糧に敵に因る、故軍食足ぬ可也。』
 善用兵者とは、軍を上手にするものと云ことなり。但し孫子が意は、上の段を承て、よく軍の害ある處をつくして知たる人を指して、善用兵者と云たることなり。何ほど軍の勝利を得る處をよく知り、合戦を上手にしても、軍の害を知らぬ人は、必不覺をとり、滅亡を招くゆへ、孫子が心には、軍をよくするとは云はぬなり。役不再籍とは、役とは民を役にあてて軍中へ召連れ、軍兵として使ふことなり。古は兵農いまだ分れずして、農民を以て軍兵とせしなり。日本にても古はかくの如し。故に當代武家の官職を役と云は、もと民兵より起りし詞なり。籍とは伍籍のことなり。伍は五人組にて、備立の本は、五人を一組とするより組はじむるなり。籍は着到の帳に付けて、軍兵の列に入るることなり。再籍すると云は、最初いくさを起して打出る時、民をゑらびて伍籍にしるし、他國に赴けども、軍利あらずして多くうたれ、或は年を經る戦ひなれば、去年ゑらびし軍兵は、かはりて故郷に歸るゆへ、再び別人を着到に付けて本國より軍兵を呼よするを、再籍すると云なり。役不再籍と云時は、速かに戦て勝利を得、長陣をせず、又打死もなければ、最初召連れたる軍兵のままにて、再軍兵を調らむことなきを云なり。一説に籍の字をかるとよむ。民を役にあてて軍兵となすにも、年番ありて勤ることなり。當年の戦に、當年の年番のもの打たるれば、兵卒不足なるによりて、來年の年番のものをくりこして召よするは、借る意なるゆへ、借ると云と見たる説もあり。是にても通ずれども、少しまはり遠き説なり。糧不三載とは、糧は兵粮なり。載するとは車に載すると云ことにて、兵粮をはこむことなり。三たびのせずと云は、出陣の時に、國境まで兵粮を車に載せはこびて送り、歸陣の時、又國境まで兵粮をのせ運びて迎るばかりにて、兵粮をはこぶこと都合兩度なり。敵地へ兵粮をはこび送ることなきゆへ、三たび載せずと云なり。是又速に戦て、長陣をせざる利を云なり。通典の注には、舟と車と人夫と三段に送るを、三たび載すると云と云へり。海川をば舟にて送り、平地をば車にて送り、險阻ば人夫にて送るなれば、平地、險山、海川と三重につぎて、兵粮を送るは、真になんぎなることなれば、是を戒めて、糧不三載とも云べけれども、三つを重ねたりとも、近くて速かならば、苦しかるまじきことなり。海ばかり、或は山ばかり、或は平地ばかりにても、遠境へ粮を送らば、其費甚しかるべければ、誤れる説なるべし。取用於國とは、用は器用とてうつはものなり。總じて兵具そのほか入用の道具を云べし。國とは本國なり。本陣の時兵具其他の諸道具をば、本國より持行べしと云ことなり。因糧於敵とは、兵粮をば敵國にて取て使ふと云ことなり。因とは新しく支度せず、もとよりある物を直に取て使ふことなり。敵國に於て敵の朝夕を養ふとて、積置たる兵糧を奪取て、味方の用に立よと云ことなり。故軍食可足也とは、よく軍をする大将は、かくの如くするゆへ、兵糧を本國より運ばずして、軍中の食物不足なくあるべしと云ことなり。畢竟長陣をして、敵國へ本國より糧を運ぶは、人民の大ゐなる疲れとなることをつよく云べき為に、かく云たるなり。取用於國と云句も、下の因糧於敵と云句を云ん為に、本國より持行ずして叶はぬ物を云たるなり。太刀、刀鎗、弓矢などは、人々の得道具、長短大小の寸法、それぞれの手に合たる程あり。其外の攻具等も、兼て出陣の砌(みぎ)り、廟算の上にて、此度は如何様の働をすべきかと、方略をきはめて打出ることなれば、持出ずして叶はぬなり。其外入らで叶はぬ物を持ゆかず、事に臨て手をつくは、思慮の淺きが致す處なれば、取用於國とは云たるなり。されども、竹木は何くにもあるものを、陣具を持行べきに非ず。敵地に川あらんに、それを渡んとて舟を陸地を持行べきに非ず。又兵具のるいも、損失多時は、敵の兵具を奪取て時の用をたすも、戦場の通法なり。況や此篇の末にも、敵の車を奪取て用ることを云たれば、強ちに本國の器用ならでは用ざれと云ことには非ず。唯兵糧を本國よりはこぶこと、費多きことを云ん為に、云たる句なりと輕く見るべきことなり。古來多く此句に泥みて、様々の説あり。國と云は敵國なりと云説あり。是處々の文例に違ひ、そのうへ下の句には敵と云ひ、此句には國と云、間もなき内にかやうに詞をかへて、紛らはしく書くべき様なければ、誤りの説なり。又器用損したらば、本國より取りよせて用ゆべし。兵糧は敵國にあるを用べしと云説あれども、是又泥みたる説なり。敵の兵具は、決定して味方の用にたたぬと云道理なければ、必本國より取よすべき様なし。又器用は輕く兵糧は重きゆへ、器用をば本國より持行と云説あれども、雲梯[うん‐てい【雲梯】城攻めに用いた長いはしご。くものかけはし。]望樓[ぼう‐ろう【望楼】バウ‥遠くを見るための高い建物。ものみやぐら。]のるい、輕きものにはなけれども、持行ずして叶はぬなり。唯器用のるいは、尤損失はあるべけれども、兵糧の如くそのまま食ひへらすものにてなければ、本國より持行て用をたさるるものなり。兵糧は長陣をするほど夥しく入るものにて、跡よりはなくなるものなれば、敵の糧を奪て食するを以て第一の計とする意にて、取用於國の一句は、けりやうに云たると心得べし。それゆへに下の句に、故軍食可足也とて、食物のことばかり云て、器用のことをば云はぬなり。されども因糧と云こと大切のことなり。敵も用心をするものなれば、敵の兵糧も輒[すなわち。そのたびごとに。]くとらるべきに非ず。又古より士卒の亂妨をするとて、郷村へうちちり、營陣を空くして敵に襲はれ、不覺を取たるためし少きに非ず。故に孫子上に善用兵者と云たり。軍の上手にあらざれば、糧に因ることも又なり難きことと知べし。

○孫子評註:『善く兵を用ふる者は、役再び籍せず(二度の徴兵はしないの意。籍は人民を軍籍に入れて出陣させること。)、糧三たび載せず(出陣の時に、国境まで兵糧を車に載せて運び、凱旋の時、又国境まで兵糧を載せて運び、兵糧を運ぶこと合せて二度だけで、戦争中の兵糧は敵地で取り、敵地へ兵糧を運び送ることのないことをいう。すみやかに戦って長期にわたる戦争をしないことの利点をいったもの。)。』
 一擧すれば(一たび戦争をすれば、)則ち勝つ。兵、再籍を待たざるなり。出づれば則ち之れ(糧)を載せ、歸れば則ちこれを迓(むか)ふ、是(か)くの如くにして便(すなわ)ち了す。糧、三載を待たざるなり。此の篇の數字(再とか三とかの数字。)は皆用ひ得て汎(汎然、すなわち漠然の意。)ならず。

○曹公:籍とは猶賦するがごときなり。言うこころは初め民を賦して便ち勝を取り、復た国に帰りて兵を発せざるなり、と。始めに糧を載せ、後に遂に食を敵に因る。兵を還して國に入り、復た糧を以て之を迎えざるなり。

○杜佑:籍とは猶賦するがごときなり。言うこころは初め民を賦して便ち勝を取り、復た国に帰りて兵を発せざるなり、と。始めに糧を載せ、後に遂に食を敵に因る。還りて方(まさ)に国に入り、釁(きん)[①すきま。われめ。不和。②きず。欠点。昔、中国で、祭器や武器が完成した時、鋳物のすきまにいけにえの血を塗りこめて魂を入れる儀式をいう。]に因りて動く。兼て人力を惜しみ、舟車の運び 三に於いて至らざるなり。

○李筌:籍とは書なり。再び籍すると書かざるは、人勞し怨を生ずるを恐れるなり。秦 關中の卒を發するは、是れを以て陳呉の難有るなり。軍出でるは遠近を度し之れを饋り軍人糧を載せ之れを迎う。之れを三載と謂う。境を越えれば則ち穀 敵に於いて館[形声。「食」+音符「官」(=公務員が集まって仕事をする家)。多くの人が食事をする建物の意。][敵地で食糧を調達して賄う、の意。]。三載無しの義なり。

○杜牧:敵攻むる可くに審らかなれば、我れ戦う可くに審らかなり。然る後に兵起きれば、便ち能く敵に勝ちて還る。鄭司農周體の註に曰く、役とは兵役を發するを謂い、籍は乃ち伍籍なり。參 伍を為す比(ころおい)、内政に因りて軍令に寄り、伍籍を以て軍を發し役を起すなり。

○陳皡:籍とは借なり。再び民を借りて役をせざるなり。糧とは往けば則ち載するなり。歸らば則ち之れを迎える。是れ三載せざるなり。兵困らざるか、國竭きざるか、速やかにして利するを言うなり。

○梅堯臣:陳皡の註に同じ。

○王晳:曹公の註に同じ。

○張預:役とは兵を興し衆を動かし之れ役するを謂う。故に師卦の註に曰く、任とは大役にして重し。功無ければ則ち凶なり。籍とは兵を調い之れ符籍するを謂う。故に漢の制に尺籍伍符有り。言うこころは一擧がれば則ち勝つ。兵役は國に再籍する可からざるなり。糧 始めて出づれば則ち之れを載す。境を越えれば則ち之れを掠(かす)[他人の物をうばい取る。かすめとる。]む。國に歸らば則ち之れを迓(むか)える。是れ三載せざるなり。此の言うこころは兵久しくして暴(さら)す可からざるとなり。


意訳
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○金谷孫子:戦争の上手な人は、[国民]の兵役は二度とくりかえしては徴発せず、食糧は三度と[国からは]運ばず、

○浅野孫子:巧みに軍を運用する者は、国内の民衆に二度も軍役を課したりせず、食糧を三度も前線へ補給したりはしない。

○町田孫子:戦争に巧みな人は、兵役を二度とかさねて課することはなく、食糧も三度とはかさねて補給することはない。

○天野孫子:戦争を巧みに行なう者は、二度も動員して民を兵役につかせることをしないし、また食糧を三度も輸送することをせず、

○フランシス・ワン孫子:戦争の機微をよく知る者は、一回兵を徴集すれば充分であり、補給品・食糧の調達も、出征の際と帰還に際してと、一度ずつすれば足りるのである。

○大橋孫子:善く兵を用いる者は、国民を二度と兵役につかせない(召集しない)し、糧秣を三度も戦地に追送するようなことはしない。

○武岡孫子:名将は国民を二度まで兵役につかせず、食糧を三度も国から運ぶようなことはしない。

○著者不明孫子:戦争の上手なやりかたは、兵役は徴集を二度繰り返して行うことなく、軍糧は一度積み出したあと何度も運ぶことはしない。

○学習研究社孫子:軍隊を動かすことに巧みな者は、徴兵は二回することなく、食糧調達を三回することはない。

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