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孫子研究ブログです。孫子兵法は別名『孫子兵経』、『SUNTZU』、『The Art of WAR』ともよばれています。ナポレオンや毛沢東も愛読していました。注釈者には曹操、杜牧、山鹿素行、荻生徂徠、新井白石、吉田松陰、等の有名人も多いです。とにかく深いです。

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2013-01-02 (水) | 編集 |
孫子 兵法 大研究!

本文注釈:孫子 兵法 大研究!

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『用を国に取り、糧を敵に因る。故に軍食足る可きなり。』:本文注釈

⇒意訳に移動する


どの注釈者も『軍食』を「兵糧」と解釈しているが、ここでの『食』の意味は、「養う」の意味であろう。この文の意味は、「『用』(軍の器材・諸用具などの軍需品)を自国から補給し、『糧』(兵糧)を敵から奪うことで、軍を十分に養っていくことができる。」となる。この「軍食」の解釈の仕方は「用を国内で賄うこと」も考慮に入れなければならず、「糧を敵に因る」の文だけで「兵糧」と解釈するだけでは片手落ちになってしまう。


敵-①対等に立ち向かう。相手になる。②戦争や競争の相手方。③うらみに思う相手。かたき。あだ。【解字】形声。音符「啇」(=まっすぐに当たる)+「攵」(=動詞の記号)。まともに立ち向かう意。

食-①たべものをくう。くらう。たべる。②生活のかてを得る。禄をはむ。③めしをくわせる。やしなう。④めし。たべもの。⑤少しずつくいこむ。むしばむ。【解字】会意。(=あつめてふたをする)+「艮」(=器に穀物を盛った形)。食器に食物を盛ってふたをする意から、たべもの(をくう)の意。





○天野孫子:○取用於国  「用」は用いるもの、道具の意。『諺義』は「用は軍用なり。器械・兵具・諸用物のことなり」と。「国」は自国を言う。『諺義』は「国の字は敵の字に対して我国にかかるなり」と。この句について魏武帝は「兵甲戦具、用を国中に取る」と。
 ○因糧於敵  この句について魏武帝は「糧食は敵に因る」と。一説に『直解』は「糧食足らざれば則ち敵人に掠取す」と。これに対して『評註』は食糧を買い取ると解して、「因糧を以て専ら侵掠と為すは兵に浅し」と。以上の四句について、論者の意図するところが不明である。前二句の「役不再籍」と「糧不三載」とは前段の文の拙速に関連して速戦速決のための限界を示すものと理解されるが、後二句の「取用於国」と「因糧於敵」は何を表明するものであろうか。「因糧於敵」は速戦速決のための限界を超えた場合の方法を示すと解するならば、その間にある「取用於国」は何を表明するものであろうか。「用」は自国に依存し、「糧」は敵国に依存するについて、張預は「器用、国に取るは、物軽くして致し易きを以てなり。糧食敵に因るは、粟重くして運び難きを以てなり」と解しているが、それについて『国字解』も言うように、攻城の具、雲梯・望楼の類は決して軽くない。また『講義』は「器用は其の便を欲す。故に必ず国に取る」と。『兵法択』も「夫れ五方、器を成し、制度、巧を異にす。之を国に取るは其の用に適する所以なり」と言うが、『国字解』も指摘するように、敵の兵器は味方の役に立たないことはないであろう。そこで『国字解』は「取用於国と云ふ句も、下の因糧於敵と云ふ句を云はん為に、本国より持ち行かずして叶はぬ物を云ひたるなり。…兵具の類も、損失多き時は、敵の兵具を奪って時の用をたすも、戦場の通法なり。況んや此の篇の末にも、敵の車を奪ひ取つて用ひることを云ひたれば、強ちに本国の器用ならでは用ひざれと云ふことには非ず。唯兵糧を本国より運ぶこと、費多きことを云はん為に、言ひたる句なりと軽く見るべきことなり」と。しかし論旨を曖昧にしてまで「取用於国」を軽く添えるということになお問題があろう。
 ○軍食可足也  この句は前句の「因糧於敵」から展開するもの。一説にこの句は「軍用」を省略していると。『発微』は「軍用・軍食、足る可きなり」と。

○大橋孫子:用を国に取り-軍費、軍用品は本国から追送する

○武岡孫子:大橋孫子に同じ。

○佐野孫子:◎取用於国  「用」は用いるもの、道具の意。ここでは軍の器材等の諸用具を指す。
 ◎因糧於敵  糧食を敵地に依存する理由の一つは次のことにある。即ち、糧食は兵用・装具とは性質を異にし、輸送に大量の馬匹・車輛を必要とする上に、生鮮食料品は長期保存が困難で、中途の損耗が甚だしいからである(F・ワン仏訳「孫子」)。尚、「糧は敵(地)に因る」とは、必ずしも、「敵より掠取す」の意に非ず。謀(はかりごと)を巡らし現地調達によりこれを確保せよ、の意と解する。

○守屋孫子:装備は自国でまかなうが、糧秣はすべて敵地で調達する。だから、糧秣の欠乏に悩まされることはない。
 ■敵の軍需工場はわれらの武器庫
  敵の装備や兵器を奪取して味方の戦力を増大させていけば、「勝ってますます強くなる」のも道理である。近年これをやって、みごと『孫子』の説を実証してくれたのが、中国の人民解放軍である。第二次世界大戦中、連合軍はしきりに蒋介石の国民政府軍に武器・弾薬をはじめ、さまざまな軍需物資を援助した。国民政府軍は日本軍との戦いを回避して、もっぱら共産党との内戦に、それらの武器や軍需物資を投入したが、次々に敗北を喫し、連合国からの援助物資は国民政府を経由して共産党の側に渡っていったのである。だから、同時、毛沢東は、満々たる自信をもって、こう言い切ることができたのだ。「われわれの基本方針は、帝国主義と国内の敵の軍需工業に依存することである。われわれはロンドンと漢陽の軍需工場に権利をもっており、しかも敵の輸送隊がこれを運んでくれる。これは真理であって、けっして笑い話ではない」(『中国革命戦争の戦略問題』)。

○田所孫子:○取用於国とは、兵機・武具等は故国から取り寄せるとの意。
 ○因糧於敵とは、兵糧は敵国のもので間に合わせるとの意。
 ○軍食可足也とは、軍隊の糧食にはそれで間に合わせることができるとの意。

○フランシス・ワン孫子:註
 「糧は敵に因る」 一般には、敵地に全面的に依存するの意とされ、なかには掠奪によって調達するの意とする者も少なくない。これに対し、仏訳は、その不足分は敵地にて補充するの意と解して妥当である。戦史を繙(ひもと)けば明らかであるが、古代でも、糧食のすべてを敵地に依存することが可能な場合は少なく、まして掠奪を行った場合は、忽ち四散。涸渇して、今日の用は充足しても、却って明日からの用に苦しむ因となるのが通例であった。当時の農業生産の実態から見て当然であろう。このため、智将は、特別な場合を除いては適当な対価を払うことにつとめている。当時でも、対価を払う所には物資は集まっているのである。この問題は後にも出てくるが、掠奪論者は、孫子は「敵(地)に因る」と言っているのであって、「敵より掠取す」などと言ってはいないことに注意すべきである。糧食を敵地に依存する理由の一つは次のことにある。即ち、糧食は兵用・装具とは性質を異にし、輸送に大量の馬匹・車輛を必要とする上に、生鮮食糧品は長期保存が困難で、中途の損耗が甚だしいからである。張豫は「糧食を敵に因るは、粟(ぞく)は重くして運ぶに難きなり」と註している。なお、敵地に徴発するのは敵を疲弊させるためといった解釈をする者もいるが、短期戦の場合、準備した敵に対しては効果が薄く、それに、これは、「故に軍食足るべきなり」の言を忘れた見解である。

○重沢孫子:つまり、戦闘用具は本国において調達し、食糧はあくまで敵に倚存する。だからこそ軍の食糧を充足しておけるのである。

○著者不明孫子:【取用於國】 「用」は費用・経費。ただし、兵器・甲冑その他の用具と解するのが曹操以下諸注の説。それらを国内から調達する。
 【因糧於敵】 食糧は敵地のもので賄う。「因」は依存する意。

○孫子諺義:『用を國に取り、糧を敵に因る、故に軍食足る可し也(原本の訓點により也を讀まず、素行は屢々讀まざる習慣なり)
 用は軍用也、器械兵具諸用物のこと也。國は我が國也、糧は粮食也。云ふ心は、軍旅の法、諸用物は國中にて用意せしめて持參いたすこと也。食物は國内より運送いたさんには、甚だ人馬舟車のつかれつひえなるがゆゑに、其の働き入る國々へ、先んじて郷導を入れ、地下人を引入れて、粮食の多きごとくならしむべし。是れ用を國に取り、糧を敵に因る也。此の如きときは軍中粮食かくることあらざる也。敵に因ると云ふは、敵のかくし置く粮を奪取亂妨せしむる類を云ふにはあらず、先んじて敵國へ間人を入れ、使をつかはし、所々に兵粮をあつめおくこと也。尤も其の便なからんには、亂取亂妨も仕る可し。又敵の兵粮をとるにたよりよくばこれを奪ふ可き也。國の字は敵の字に對して我が國にかかる也。器械用具等は國俗に隨つて兵士の長ずる所有り、又得ざる處あり、故に國に取ると云ふ。取るはこしらへ作るの心也。竹木金鐵の入るものなれば、取ると云ふ也。取は易き心と云ふも亦通ず。因はちなむ心也、敵國にたよりて用ふると云ふ心也。凡そ千里の遠きに軍を出すと云へども、千里ながら敵國の地を行きてかれをうつと云ふにはあらず。我が國をはなれて一里出でたりとも、敵つよくささへばそれより先へは行くこと叶ふ可からず。しかれば千里先へ行けば、そのつかへて行く能はざるの地までは、皆我が手に入りたる地ならずしては動き入る(「動入」は「働入」と同様に使用せるらし、或は動は働の誤記か)ことを得可からず。たとひ敵地なりとも或は道をかりゆくときは、是れ又粮食にことをかくべからず。然れば孫子が糧を敵に因ると云ふの心、全く是のはたらく所々へ兵粮をあつめしめて、こなたより運漕せしめざるを云ふ。又云はく、千里粮を饋ると云ふは、千里こなたより糧をもちはこぶと云ふにあらず。千里に軍だち(立)あれば、近國より粮食をあつめざれば、十萬の兵食足らず、このゆゑに四方の兵粮をまはす。是れ千里粮を饋ると云へり。此の説尤も相通ず。袁了凡云はく、此の言用兵之利、食を足らすに在り。以上第二段。

○孫子評註:『用を國に取り、糧を敵に因る。』(必要な器材は自国から持って行き、兵糧は敵国のものを使う。) 
 大議論、唯だ八字を用ふるのみ。用は資用なり。資用は輕くして致し易し。故にこれを國に取る。資用を散じて糧食を収む、自ら深謀ありて存す。糧に因るを以て、専ら侵掠と為すものは兵に淺し(戦争に関する知見の浅いものである。)
 『故に軍食足るべきなり。』
 「軍食足るべきなり」の一句乃ち了す、復た縦論せず(ほしいままに論ずること。)。灰蛇草線(松下村塾発行の木版本には灰線草蛇とある。奇妙な言葉で、恐らく松陰の造語であろう。)[文法で、草蛇灰線法というのがある。これは特定の語彙を繰り返す文法を言う。松陰の造語ではない。]、作法奇眩なり。軍食足らば則ち久し(長期に戦争する。)と雖も三たび載するを待たず。其の戦、必ず利に合して動き、士卒を殺さず、故に再び籍するを待たず。用を取りて糧に因る、功效是(か)くの如し。是れ孫子本色の議論なり。

○曹公:兵甲戦具、用を国中に取る。糧食は敵に因るなり。

○杜佑:兵甲戦具用を國中に取る。糧食は敵に因るなり。資用を我が國に取る。糧食を敵の家に因るなり。晋の師 穀を楚に館すは是れなり。

○李筌:我れ戎器を具え、敵の食に因る。師を出すこと千里にすと雖も匱乏(とぼ)しきこと無きなり。

○梅堯臣:軍の須用[必要とするもの]は國に取りて、軍の糧餉[りょうしょう:兵糧]は敵に因る。

○何氏:因って兵 境を立て聚(しゅう)に鈔(かす)めて野に掠(かす)め、敵に克ちて城を抜くに至りて、其の儲けを積み得るを謂うなり。

○張預:器用を國に取るとは、物を輕くして致し易きを以てなり。糧食を敵に因るとは、粟を重くして運び難きを以てなり。夫れ千里に糧を饋らば、則ち士 飢える色有り。故に糧に因らば則ち食足る可し。


意訳
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○金谷孫子:軍需品は自分の国のを使うけれども、食糧は敵地のものに依存する。だから、兵糧は十分なのである。

○浅野孫子:戦費は国内で調達するが、食糧は敵地に依拠する。このようにするから、兵糧も十分まかなえるのである。

○町田孫子:当初の装備は自国にまかなわせるが、その後の食糧はすべて敵国のものに依存する。そうしてこそ、食糧は確保できるのである。

○天野孫子:軍の器材などの諸用具は自国のものではたし、食糧は敵国のものをたよりとする。従って全軍の食糧は充足することができる。

○フランシス・ワン孫子:武器・装備は自国で調達するが、糧食の不足は敵地にて補充する。(但し、敵地の供給能力を充分に考慮しなければならない)こうすれば、軍はたっぷりと給養されることとなる。

○大橋孫子:軍費、軍用品は本国で調達するが、大きな輸送力を必要とする糧秣は敵地で調達し、追送はしない。ゆえに糧秣に不足することはない。

○武岡孫子:軍需品は自国のものを使うけれども、食糧は敵地のものを奪って賄う。だから兵糧は十分なのである。

○著者不明孫子:経費は国内で賄うが、食糧は敵地のを用いる。そうすれば軍糧は十分に確保できる。

○学習研究社孫子:資材は国内から取り、食糧は敵地に依存する。このようであれば、軍の兵糧は十分である。

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