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孫子研究ブログです。孫子兵法は別名『孫子兵経』、『SUNTZU』、『The Art of WAR』ともよばれています。ナポレオンや毛沢東も愛読していました。注釈者には曹操、杜牧、山鹿素行、荻生徂徠、新井白石、吉田松陰、等の有名人も多いです。とにかく深いです。

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2013-01-13 (日) | 編集 |
孫子 兵法 大研究!

本文注釈:孫子 兵法 大研究!

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『近市なれば貴売す。貴売すれば則ち財竭く。財竭くれば則ち以て丘役に急なり。』:本文注釈

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いうまでもなく、これは自軍が駐屯する場所の近くの、自国における「市」の状態を指す。敵国に侵入し、敵国の「市」で、敵国のものを高く買って軍資金を消耗することは通常ありえない。


市-①多くの人が集まって物品の売買や交易をする所。いち。転じて、取引。あきない。②人家の多い、にぎやかな所。まち。③行政区画の一つ。【解字】形声。音符「止」+「平」。

貴-①身分が高い。とうとい。あて。②ねだんが高い。ねだんが上がる。大切である。とうとぶ。③相手にかかわる事物に冠して、敬意を表す語。【解字】会意。本字は「貝」(=財貨)+「臾」(=両手で高く持ち上げる)。高いねだん、目だつ財貨の意。

竭-あるかぎりを出す。尽くす。尽きる。

丘-おか。小さい山。小高い地形。【解字】周囲が小高くて中央がくぼんだ盆地を描いた象形文字。孔子の名の「丘」は、頭の形がこれに似ていたので名づけたという。

役-一、ヤクの読み  ①割りあてられた仕事・任務。つとめ。職分。②割り当てられた(特別の)はたらき。  二、エキの読み  支配者が人民の労力を使う。働かせる。①人民に課された義務労働・租税。えだち。②いくさ。戦争。「慶長の役」「戦役」兵として役使される意から。【解字】会意。「彳」(=ゆく)+「殳」(=ほこを手に持つ)。武器を持って遠くへ行く意。転じて、苦しいつとめをする意。

急-①いそぐ。早く行き着こうとする。②進行がはやい。③変化がはやく、大きい。にわか。④さし迫っている。⑤傾斜の度合いが大きい。けわしい。【解字】形声。「心」+音符「及」(=追い付く)。追い付こうと気ぜわしい意。




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○金谷孫子:近於師者-武経本・平津本・桜田本には「於」の字が無く、『通典』『御覧』と合う。「戦場に近い所では」と解して、以下を出陣の兵士のことと見るのが通説であるが、落ちつかない。
 百姓財竭-『御覧』では「百姓虚、虚則竭、竭則急於丘役、」とある。
 丘役-丘はもと土地区劃(かく)の谿、ここでは村里の意。役は軍役。

○浅野孫子:丘役-丘は行政上の区画単位。一丘は百二十八戸。丘役は丘賦ともいい、丘ごとに課す軍事税。

○町田孫子:宋本では「近於師」と「近」の下に「於」の字があるが、ここでは諸本のないものによった。

○天野孫子:○近於師者貴売  「貴売」は売るを貴(たか)くすることで、物価を高くつり上げて売る。物価騰貴について『約説』は「師旅の地に近き者は、人多くして物少なし。售(しう)売必ず貴し」と。售は売ること。一説に魏武帝は「師に近き者は財を貪りて皆貴売す」と。『武経』には「於」の字がない。
 ○貴売則百姓財竭  「百姓」は自国の百姓。この句は物価が騰貴すればその物資を補給するために国民のたくわえている財貨は尽きはてるの意。『兵法択』は「其価暴貴すれば、則ち民の供給するに、其財尽きざるを得ず」と。一説に自国の従軍兵の持参した財貨がつきると。『国字解』は「百姓は味方の百姓なり。吾国の民の軍兵に調(えら)まれて敵国に在陣するものを指して云ふなり。士卒のことなりと見るべし。吾陣所の近辺にて、売物の価、高値なる時は、手前の軍兵の財宝竭くると云ふことを百姓財竭と云ふなり」と。また一説に師に近い地の自国の民の物資がつきはてると。梅堯臣は「遠き者は役に供して以て転饋し、近き者は利を貪りて貴売す。皆国を貧しくし民を匱(とぼ)しくする道なり」と。
 ○財竭則急於丘役  「兵役」とは一丘すなわち百二十八家の民に課する税。周代の制度に、九百畝を井形に九等分し、中央の田百畝は八家が共同耕作しその収穫物を税としておさめるところの公田とし、周囲の八つの私田は民八家が耕作して生活するという井田法がある。この八家を一井と言い、四井を邑、四邑を丘、四丘を甸と言う。一丘には馬一匹、牛三頭を税として課すが、戦時にはさらに増税して穀物牛馬を徴する。杜預の『左伝』成公元年注に「周礼に九夫井を為し、四井邑を為し、四邑丘を為す。丘の十六井は戎馬一匹、牛三頭を出す。四丘を甸と為す。甸の六十四井は長轂(こく)一乗、戎馬四匹、牛十二頭、甲士三人、歩卒七十二人を出す。此れ甸の賦す所なり」と。夫は田地畝を受ける一人前の男子。長轂は兵車。一説に丘は兵の誤りと。『発微』は「昔、錦城先生予に語りて曰く、丘役・丘牛の丘は皆当に兵に作るべし、と」と。『折衷』も同意見である。「急」は民が急ぐとみて、民が忙しくなること。『新釈』は「物資に余裕なき故に徴発に応ずべくいろいろやりくりに忙しい」と。一説に朝廷が急ぐとみて増税にいそぐと。『講義』に「上の人乃ち且つ財を得るに急にして、以て其の用に供す」と。

○守屋孫子:丘役-丘は古代の行政単位。今でいえば村にあたる。村ごとに軍役を課したので丘役という。
 また、軍の駐屯地では、物価の騰貴を招く。物価が騰貴すれば、国民の生活は困窮し、租税負担の重さに苦しむ。

○フランシス・ワン孫子:註
 一、「師に近き者」は、一般には軍隊に近き者はの意に解されているが、仏訳の如く、戦争となればの意とする方がより適切と言える。曹操は「軍を行(や)りて已(すで)に界(国境)に出づれば、師に近き者は戦を貪らんとして、皆、貴売す。則ち百姓の虚竭(けつ)するなり」と註する。「貴売」すとは貴(たか)く売るであり、その結果は物価高騰・インフレとなる。
 一、「丘役」とは、当時の軍の徴発の単位で、一井(せい)を九家、十六井を丘といった。百姓の財が涸渇した結果、人馬及び物資の実物徴発を急ぐに至るのである。
○大橋孫子:師に近き者は貴く売る-戦場付近では物価が上がり、軍費が増大し、国民が貧する 丘役に急-戦いのための賦役(一丘は百二十八家、一丘に課せられる賦役は馬一頭と牛三頭というが、ここでは労務提供であろう)の取り立てがきびしくなる

○武岡孫子:戦場付近では物価があがり、軍費が増大し、それを賄う国民は窮乏する 丘役は急となり-戦いのための賦役(一丘は百二十八家、一丘に課せられる賦役は馬一頭と牛三頭というが、ここでは労務提供であろう)の取立てがきびしくなる

○佐野孫子:【校勘】
○近師者貴売  「十一家註本」には「近」の下に「於」の字があるが、「武経本」、「桜田本」、「竹簡孫子」にはない。ここでは「於」の字を削る。「竹簡孫子」には「師」が「市(いち)」とある。「師」は多くの人々の意で、ここでは大軍と解する。即ち「市」とは軍隊が駐留する近所にできた軍市のことであり、この場合、「近師」なるときは「近市」でもあるため、ここでは「近師」に従う。曹操は「軍行きて已(すで)に界(さかい)を出ずれば、師に近き者は貴売し、貴売すれば則ち百姓の財竭く」と。
○貴売則百姓財竭  「竹簡孫子」は「近市(師)者貴□、□□□則□及丘役」に作る。「釈文校註」は「貴□」と「則の上の二字」に反復記号が附されていた可能性があるとする。それによれば前後の文脈からして不明の上四文字には「売、則、財、竭」の字が推定されるので本句は「近市(師)者貴売、貴売則財竭、財竭則□及丘役」と読まれる(因みに「急」の本字は「及+心」である)。特に意味を違えるものではないので、ここでは「十一家註本」に従う。尚、この場合の「百姓」は「遠者遠輸則百姓貧」における「百姓」即ち「民」の意とは異なり、「自国の従軍兵」と、又、次の「財竭則急於丘役」における「財竭」は、「軍兵の持参した財貨がつきる」意と解される。

○田所孫子:○近師者貴売とは、戦争にもなれば、物価が騰貴するとの意。
 ○貴売則百姓財竭とは、物価が騰貴すると、人民の資財が窮乏して経済生活が行詰るとの意。
 ○急於丘役とは、井田制の夫役を按じて、人馬・物資等の実物を徴発をきびしくするとの意。

○重沢孫子:というのは、軍の駐屯地近くの人びとは、(高値で売れるのをよいことに)物資を高く売りつける。その結果は、(一時的には儲かるようでも、最終的には)持てる財貨が底をついてしまうのである。財貨が底をついた以上、(徴発しようにも現物が乏しいのだから、生産の督促以外に方法はないので)例えば丘(百二十八戸の共同体組織)に対する役務を厳しくする。

○孫子諺義:『財竭くるときは則丘役に急なり。』
 丘役とは田地の大小廣狭について、役を出すを云ふ。十六井を一丘と為す、戎馬一匹牛四頭を出すといへり。丘甸(きゅうでん)の數、詳に司馬法に見ゆ。急とは迫也、せはしくなりてつぐのひなりにくきを云ふ。云ふ心は、民の財竭くれば定まれる役義を出すこと叶はざる也。課役を之れを出す能はざるときは、軍用之れを辨ずるを得ざる也。

○孫子国字解:『師さに近き者は貴かく賣る。貴賣ときは則ち百姓財竭く。財竭ときは則丘役に急也。』
 この一段は、下の費の内にて、戦場にての費を云なり。近於師者とは、師とは吾が陣處なりわが陣處の近邊に居る、敵方の在家を云なり。近於師者貴賣とは、大軍の陣を取りたる近邊は、其處のものども利を貪て、必諸色のもの、何によらず高直になるものなるを云ヘリ。貴賣則百姓財竭とは、百姓は味方の百姓なり。吾國の民の軍兵に調まれて、敵國に在陣するものを指して云なり。士卒のことなりと見るべし。吾陣所の近邊にて、賣物の價高直なる時は、手前の軍兵の財寶竭ると云ふことを、百姓財竭と云なり。財竭則急於丘役とは、丘役とは、十六井を丘と云、役は軍役なり。周の司馬の法に、民の家一軒に就て、百畝の田を耕し、九軒にて田九百畝を一井と名つけ、其一井を四つ合せて、民の家數四九三十六軒、田地高も四九三千六百畝を一邑と名つけ、其一邑を又四つ合せて、民の家數三四の十二に、又四六二十四合せて百四十四軒、田地の高も同し算用にて、一萬四千四百畝を一丘と名づく。是十六井を一丘と云なり。其一丘を又四ツ合て、一四の四に四々十六を二つ重ねて、民の家數五百七十六軒、田地の高も同じ算用にて、五萬七千六百畝を一甸と云て、此一甸よりの軍役、馬四匹、牛十二匹、軍車一兩、武者七十五人を仕立てて出す也。是を丘甸の役とも云ひ、丘役とも云なり。張預が注に七十萬家の力を以て、餉を十萬の師に供すると云たるも、右の算用にて、八分一のつもりに合なり。財竭則急於丘役とは、財竭ると云は、上の句の百姓財竭と云をうけたる詞にて、軍兵に調れたる百姓の、敵國に陣取て居るものどもの財寶を、陣場にて物の價高直なる故に、悉く使ひ竭したることを云なり。かく陣所にて財寶竭れば、國本の吾が組合ひ、一丘の民百四十四軒、一甸の民五百七十六軒へ、金銀を取にさしこすゆへ、右のなかまにて、もやひて出す金銀の高增して、勝手なことの仆にせはしくなることを、急於丘役とは云なり。

○孫子評註:『師に近きものは貴賣す(敵国に出陣している味方の軍隊の近くに居住する敵方の住民は物を高く売る。)。貴賣すれば則ち百姓の財竭く(人民の、軍隊に徴集されて士卒になっている人たちの財宝はなくなってしまう。)。財竭くれば則ち丘役に急なり(周代の井田法で、一里四方の土地を一井といって八家で耕し、四井を邑、四邑を一丘、四丘を一甸(てん)という。周の司馬の法では、一甸よりの軍役(軍事のための徴発)は馬四匹・牛十二匹・軍車一輛・士卒七五人であり、これを丘甸の役、又は丘役という。ここでは、戦陣にいる士卒の財宝が尽きるので、郷里からの徴発の必要が切実となってくることをいう。)
 財竭くるは即ち貧しきなり。但し百姓貧しとは、是れ國内の民貧しきなり。百姓の財竭くるは、是れ軍所の士卒の財竭くるなり。曰く貧し、曰く竭く、字各々當るあり。稍(や)や句法を變じ、粗(ほ)ぼ對偶(対句法。)を用ふ。乃ち「財竭くれば則ち急なり」の一句を安(すえ)て以て之れを結ぶ。

孫子十家註:『師に近き者は貴賣す。貴賣すれば則ち百姓財竭く。』

  御覧は百姓虚、虚とは則ち竭に作る。
 
○曹公:軍行きて已に界を出づ。師に近き者は財を貪りて皆貴賣すれば、則ち百姓虚竭するなり。

○杜佑:言うこころは軍の師に近き市は、非常の賣多し。當時に貴く貪りて、以て末の利を趨らば然る後財貨殫盡て、國家虚なり。

○李筌:夫れ軍に近きは必ず貨易有り。百姓財徇りて産殫きて之れに從うは竭くなり。

○賈林:師徒に聚する所、物皆暴貴す。人非常の利を貪りて、財物竭き以て之れを賣る。初めて利を獲り殊に多しと雖も、終に力疲れ貨竭くに當る。又云わく、既に非常の斂有り。故に賣者は價を求め厭無し。百姓力竭き之れを買う。自然(じねん)家國虚盡するなり。

○梅堯臣:遠き者は役を供し以て轉饋す。近き者は利を貪りて貴賣す。皆國に貪りて民を匱(とぼ)しくするの道なり。

○王晳:夫れ遠く輸さば則ち人労費す。近市は則ち物騰貴し是故に久しき師は則ち國患いを為すなり。曹公曰く、軍行きて已に界を出づ。師に近き者は財を貪りて皆貴賣す、と。晳謂わく将に界を出でんとするなり、と。

○張預:師に近きの民、必ず利を貪りて貨其物 遠く來る輸餉の人貴くせば、則ち財竭ざるを得ず。

孫子十家註:『財竭くれば則ち丘役に急なり。』

 御覧は財の字無し。

○張預:財力殫竭くれば、則ち丘井の役、急迫して供に易からざるなり。或いは曰く、丘役 魯の成公 丘甲を作るが如きを謂うなり。國用急迫して、乃ち兵 甸賦に出づら使む。常に制違うなり。丘十六井、甸六十四井。


意訳

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○金谷孫子:近くでの戦争なら物価が高くなり、物価が高くなれば民衆の蓄えが無くなる。[民衆の]蓄えが無くなれば村から出す軍役にも苦しむことになろう。

○浅野孫子:国境近くに軍隊が出動すれば、近辺の商工業者や農民たちは、物資の大量調達による物不足につけ込んで、物の値段をつり上げて売るようになる。物価が高騰すれば、政府は平時よりも高値で軍需物資を買い上げることになり、国家財政は枯渇してしまう。国家の財源が枯渇すれば、民衆に対する賦税も厳しさを増す。

○町田孫子:また、近くでの戦争の場合には、物価が騰貴するからである。物価が騰貴すれば民衆の蓄えはなくなる。民衆の蓄えがなくなれば、村ごとにわりあてられる人夫の徴用にも苦しみ、

○天野孫子:一方、大軍のおる地では物価が騰貴する。物価が騰貴すれば物資補給のための国民のたくわえた財貨は尽きはててしまう。国民の財貨が尽きはててしまえば、朝廷は増税して、国民はそれに応ずるため忙しくなる。

○フランシス・ワン孫子:戦争は自国並に関係諸国の物価を高騰させる。物価が高騰すれば、国民の貯えは涸渇する。国家の財貨(富)が底をつく時、国民は膏血を絞られることとなる。

○大橋孫子:なんとならば戦場の軍の付近にいる者は足もとをみて、品物を高く売るから、軍費は増大し、これをまかなうための増税で、国民は貧困となり、納税できなくなれば労役に駆り立てられる。

○武岡孫子:また戦場に近い處では物価が高くなり、物価が上がれば民衆の蓄えは無くなる。蓄えがなくなれば軍役に駆り出される羽目になる。

○著者不明孫子:また、戦争が近くである場合には物が高く売られ、高く売られると、物価が上がって民衆の財力が尽き果て、財力が尽きると、村に割り当てられる税の納入に追い立てられる。

○学習研究社孫子:一方、軍隊の駐屯地に近い地方では、物価が高くなる。物価が高くなれば、臣下の財産がなくなってしまう。臣下の財物がなくなれば、賦役を急(さしせま)って求めることになる。

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